第百三話:はうつー
玄関ホールへ向かい歩いている道中、体の重心に違和感を覚えて、歩みを緩めて体をチェックしてみれば、いつの間にかポケットに、纏めて折りたたまれた複数枚の用紙が差し込まれていた。
広げてみれば、それは約束のものであった。
三枚綴りの一枚目、その冒頭に、それが何であるのかの表題が記されていた。
『
美しい達者な筆記体ではなく、イメージからは離れた、可愛らしい文字で綴られた概要を見て、リプカはなんとも言えない気持ちになった。
(いや、無理ですって……)
思いながらも、一応目を通してみる。
待っていてくれるかもと少し期待していたセラの姿が見えないことに若干不安を覚えながらも、短いながらも濃い著述の内容に、リプカは次第に引き込まれていった。
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