再びの託宣・1-3

 ――言葉を紡ぎ終えると、「フゥ」と吐息をつき、娘は表情に感情の色を戻した。


「……と、こんな具合すね」

「魔王……」


 リプカはぽつりと呟いた。そして――。


「王子等六人との友情と引き換えに、貴方の望む全てを手にする……?」


 一番に気になったそれを口にして――背筋に冷たいものが奔る、言い様のない不安に襲われた。


「あの、私の中の魔王とは、いったい何を指す暗喩なのでしょうか……?」

「あ、占い内容の読み解きは、自己判断でお願いします。そういうものなので」

「そうなのですか。…………」


 リプカは考え込んだが……しかしてんで、ピンとくるものはなかった。

 なにも思い付かずにいると、娘が突然「あ」と声を上げた。


「時間っすね」

「時間?」


 リプカは、問い返した瞬間――。


 急に、いまこの瞬間見ている景色の全ては――夢であることを悟った。


「これは――夢……あっ……!」


 それを認識した瞬間、風景の全て、自分の手足さえもが透け始めてしまった。

 目の前の娘も、急激に色を無くしてゆく――。


「あ、あの……!」


 リプカは目覚める間際の最後、娘に最後の問い掛けを向けた。


「前回の占いでおっしゃっていた、第七の王子とは、いったいどなたであるのでしょうか……?」


 占い内容の読み解きは自己判断と言われながらも、問わずにはいられなかったその疑問に。

 占い師の娘は、遠くに呼び掛けるような、大きな声を返した。


「わかりませーん!」

「そ、そうですかー!」


 リプカも大きな声を返して――そして、景色と共に、無色の渦に呑まれてしまった。


 

 

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