セラの森

作者 奥森 ゆうや

世界観がなんとも独特なハイファンタジー作品です。

  • ★★★ Excellent!!!

普通の人には見えないけれど、世界を構成し、人と共存している精霊という存在。
この作品世界にはそんな精霊が満ち溢れています。

この自然そのもののような精霊、彼らには彼らなりの理屈があり、それは人と相いれるものばかりでありません。
危ういバランスだったり、完璧な調和だったり、人とのかかわり方もそれぞれです。

主人公のセラはそんな精霊が見える少年です。
彼らの声を聞き、彼らと意思の疎通ができる稀有な存在。

だがそれだからこそ、彼は禁忌に触れる大きな事件を起こしてしまいます。
追放される形で居場所を失った少年は、本当の自分を探す旅に出ます。
そしてそんなセラを追いかけるもう一人の少年、セラの弟・トニヤ。

物語はこの二人の過酷な旅路を追いかけていきます。
そして旅の先々で特異な精霊たちと出会い、戦い、人と精霊の様々なあり方に接していくのです。
その旅路の果てに彼らが辿り着いたのは……

という話なのですが、この旅路のストーリーがまず面白い。
読みやすい語り口はもちろんですが、少年たちの心情が実にリアルに細かく書かれています。
自然とふたりの旅路を応援したい気持ちになっていくのです。

さらに登場する精霊たちの独特な存在感。
脳裏に想像されるその異形な姿、異質な思考、そんなものが鮮やかに脳裏に浮かんできます。

あっという間に世界観に引きこむ文章力、作品の持つ雰囲気がじつに心地よい作品です。
そして旅路の最後に訪れるエンディングはいろいろと感情を揺さぶられるものでした。

独特の世界観を作り上げるのは本当に難しいし、豊かな想像力が必要だと思います。
この作品にはそんな魅力があふれています!

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その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

森に育った少年・セラは、他の人には聞こえない精霊の声を聞き、父が亡くなった理由の真実を知る。
その時から、彼とさまざまな精霊たち・人間たちとの物語が大きく動き出す…!

人々と同じように、精霊にもよ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

すごく濃密なファンタジーの世界を味あわせて頂きました!
この濃い内容が10万字に納まっているとは……驚きです。

主人公は旅の中で色々な人々に出会い、世界を知り、成長していきます。
それがファンタジ… 続きを読む

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