第121話 闇に溶ける 6
ライアが応援に呼ばれ、セシルを部屋に送った後一人で部屋にいた。
応援要請とはなんだろう。
あのお化け屋敷で何かあったのだろうか。
そう思いながら、経済の本をとり机に向かい読んでいるが気になって集中できない。
しばらくすると、廊下から足音が慌ただしく聞こえ、何だか騒いでいる気がした。
おかしいな、と思い椅子から立ち上がると護衛の一人がやってきた。
「レオンハルト様!大変です!セシル様の様子が変です!」
「セシルが!?」
セシルが急に部屋から出てきて、無表情のまま外に出たらしい。
誰が声をかけても反応はなく、ただ真っ直ぐ前を向いて歩いており不気味さを感じるほど異様な雰囲気だと。
急いで走り邸を出ると、セシルは不気味さを漂わせ比較的ゆっくり歩いていた。
そのゆっくりさのおかげで追い付きはしたが、いつものセシルではなかった。
「セシル!どうしたんだ!?セシル!?しっかりしろ!?」
セシルは私を振り払い、ただひたすら歩いた。
その無言の表情に不気味さを感じ、ゾッと背筋が凍りそうだった。
周りの護衛達は私の客だからと遠慮しているのか、止めようとはするが手荒にすることはなかった。
セシルを羽交い締めにすると、暴れるように抵抗し、私とセシルはそのまま倒れた。
それでも、セシルは痛がる素振りさえも見せない。
ここはもう邸の敷地内じゃない。
どうして全く止まらず、こんなところまでセシルは歩いているのか全くわからなかった。
どこへ行こうとしているかもわからない。
それでも進もうとするセシルが益々不気味さを増していたが、セシルを止めることに私はなりふり構わず必死で抑えた。
そして、セシルの向かおうとしている視線の先に二人の人影が見えた。
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