第106話 招待したのは

翌日、昼食に招待したセシルを待っていたが、来たのはリンハルト男爵夫妻と次女のアメリアだった。

リンハルト男爵はご招待頂きありがとうございます。と言っていたが、招待したのはセシルだ。

勝手に来たのに何故この親子三人は嬉しそうなんだ。


「セシルはどうしました?」

「セシルではご無礼になってはいけないと思いまして、…アメリアだときっとレオンハルト様のお気に召すと」

「招待したのはセシルです!」


ゴマをするような言い方の男爵とにやけているアメリアを遮るようにして言った。

私の強気の言い方に男爵はしまったと言わんばかりの顔になっていた。


「セシルはご自宅ですか」

「は、はいっ」

「ライア、セシルを迎えに行ってくれ」


ライアに振り向き、そう言うがライアはニコリとしたまま、返事をせずに、こっちに来いと言わんばかりの手招きした。

何なんだ、と二人で廊下に出ると思いがけないことを言われた。


「レオン様、こういう場合はレオン様が迎えに行くのが男です。好感度アップですよ。男爵達にもダメージを与えられます」

「私が迎えに?」


そういうものなのか?

確かに今までは自分から動かなかった気もする。


「ライア、そういうものか?」

「迎えに行けばレオン様の誠実さも伝わります」

「…わかった。すぐに迎えに行こう」

「その間に男爵達の昼食も準備させますね。他の護衛を居間に配置させますから男爵達にはそちらで待たせましょう」

「男爵達とも昼食を?」

「待たせた上にセシルを交えた食事です。男爵は焦りますよ」

「焦らせてどうするんだ?」

「…焦らせることも必要です!」


ライアが面白がっている気もするが、今男爵達を追い返すとセシルが責められるかもしれない。

言われた通りにしてライアと二人でセシルを迎えに行った。





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