第62話『こなゆきびより 終』

 2人に伝えたいことがあると言って、一昔前にネットで話題になったアイドルユニット『Re:MYリーマイ』について話し出した舞央まお


唯__ゆい__#「どうして、自分の事のように話すんですか。」


舞央「……自分のことだからだよ。私、Re:MYの一員だったんだ。」


舞央はそう言って、もう一度、彩乃あやのと唯に動画を見せた。


彩乃「あっ、ほんとだ。この人。」


舞央「そう。」


唯「……それが、どうして私たちに迷惑をかけることになるんですか。」


舞央「理由は2つ。1つ目は……他のメンバーを見て。2人とも知ってる人だから。」


彩乃「……もしかして、佐曽利さそりさん?」


唯「佐曽利さんって……DEMUREデミュアの?」


舞央「そう。この人は、佐曽利れいむ。もう1人は?」


彩乃「杉森すぎもりさんだ……!」


舞央「うん。ゆりかは、だいぶ面影があるよね。オプティミズム♪の、杉森ゆりか。しくも、今年のエイチフェスに元Re:MYの3人が揃う。私、中学を卒業してからは、2人と1度も話してないんだ。それは、れいむとゆりかもだと思う。なかたがえして別れたからさ……。だから、たとえばれいむとは、トゥイエン合同練習で絶対に顔を合わせる。ゆりかとは、エイチフェスに向けた合同合宿で確実に会う。その時にね……私、2人と上手く話せる自信ない。だから……何か、2人に協力してもらうこととか、あるかもしれないっていう……それね。」


彩乃「はい。」


舞央「もう1つは、もし私が、私たちが、Re:MYだとバレた時。オプティミズム♪はもちろん、粉雪もDEMUREも、たくさんの人の目に止まるようになってきてるでしょ。いつの日か必ず、バレると思うの。『あの時、何も言わずに居なくなった、裏切り者のRe:MYだ』って。当時は子どもだった。それがどんなにファンに対して無礼なことなのか、分からなかったの。気づいたときはもう遅かった。無断解散してから、もう何年も経過してたから。だからね……大炎上する可能性があるの、私には。私が『水谷舞央』である限り、常に、その危険と隣り合わせなの。その時が来たら、絶対に2人に迷惑をかける。辞めたいとか、逃げたいとか、言うと思うの。でもね……その時は、きつく叱って。自業自得でしょって、手を取って立ち上がらせてあげてほしい。未来の私のために、2人へのお願い。」


彩乃「……分かりました。」


唯「はい。」


舞央「……ありがとう。それじゃ、暗い顔はおしまい!その日が来るまでは絶対に笑顔でいるよ、私!よーし、もりもりごはん食べて、また唯ちゃんのお洋服を探しに行こー!」


唯「私はそんなふうにすぐには切り替えられません。」


舞央「えー?ごめんごめん!あ、ハヤシライス来たよ!食べよ食べよー!」


いつも通り明るい舞央に、彩乃と唯は少し安心しつつも、未来には少しだけ、不安を抱いた。

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