第59話『追懐 終』『萌美ちゃん、お誕生日おめでとう!』
そして翌日。学校に着くと、
そんな醜い私が、幸せになっていいのだろうかと、ときおり不安になる。人の不幸を一度でも心の底から喜んだ私が、こんなに毎日が笑顔に溢れていて良いのだろうか。大好きな仲間たちに囲まれて、愛する家族もそばにいて、そして、私を守ってくれる先輩がいる。
萌美「えっ、あ、ううん、なんでもない!」
インターホンの音。
遥「あ!千翼さん来たね!」
佳子「パーティー開始に間に合って良かったですぅ!」
ドアが開いて、今日も元気な千翼先輩が入ってきた。
千翼「萌美ちゃ~ん!お誕生日おめでとう!!」
千翼先輩が私を抱きしめる。4年前と変わらない、温かいハグ。今日は、7月28日。佳子ちゃんのおうちで私の誕生日パーティーをしてくれる。
千翼「いい匂いだね!」
佳子「はい!ケーキが焼けましたよ!パーティーにしましょう!」
遥「わーい!」
千翼「ジュースも買ってきたよ!それから、アイス!いちご味もあるよ!好きでしょ?」
千翼先輩が満面の笑みで私を見つめる。
萌美「はい、大好きです!」
千翼「うん!」
遥「う~、やっぱり千翼さんにはまだまだ勝てないね。」
佳子「萌美ちゃん検定で、ですか?当たり前ですよ!でも、これからもっともっと萌美ちゃんのこと大好きになるんですからね!」
遥「私だって~!」
千翼「う~ん?負けるわけないでしょ?」
千翼先輩が私を抱きしめると、遥ちゃんと佳子ちゃんも飛んできた。みんなからの愛情が、私の器から溢れ出す。
萌美「うぅ……」
遥「ふぇ!?なんで泣いてるの!?」
萌美「……幸せだよぉ……」
千翼「っ、そっか」
佳子「千翼さんまで涙目です……!」
それから、みんなで佳子ちゃんが焼いてくれたケーキを食べながら、わいわいおしゃべりをした。仕事の話もしたし、たわいない話もたくさんした。私は今、紛れもなく幸せです。中学生のボロボロだった私に、そう教えてあげたい。幸せは、自分で手に入れるものだ。
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