79話 なんでもない琴ちゃんの一日(深夜)
お姉ちゃん好みの女になるための修行は深夜になってもまだまだ続く。残念ながらお姉ちゃんがご所望だったSMは、今の私には荷が重すぎた。そちらに関してはおいおい学んでいくとして……
「琴ちゃん、琴ちゃん!?ど、どうして私に迫る?どうして押し倒しながらお耳さわさわしてるの……!?あ、ちょ……ほ、ホントに耳はマズいんだって私……!?」
「お姉ちゃんのあの声……私大好き♡だから……いっぱい聞かせてね、お姉ちゃん……♪」
「や、やめ——ッ!!!?」
今日はSM以外の方法で、お姉ちゃんを満足させてあげるとしよう。小絃お姉ちゃんを押し倒し、がっつり抱きついて逃げ場をなくしつつ……お姉ちゃんのふにふにお耳に触れながらにっこり笑う私。
小絃お姉ちゃんがお耳を弄られると嬉しくなることはすでにリサーチ済み。そしてお姉ちゃんが天井裏に大事に保存していた
「それじゃあいくよお姉ちゃん。私……頑張るからね」
「が、頑張んなくていいから!?こんなところで琴ちゃんの頑張り屋な素敵なところを存分に発揮しなくていいから!?お、お願い琴ちゃん待ってくれ!?せ、せめて心の準備を……」
無防備で可愛いお姉ちゃんのお耳。ふにふにしてて触り心地最高すぎる……誘われるように私はそのお耳に口元を近づけて。そしてそのまま……
「ふー……」
「ひゃぁん……っ!?」
手始めに吐息を吹きかけてみる。まるで呼気に反応する管楽器のように、お姉ちゃんの口からは甘く蕩ける至高の音色が漏れ出した。
「はっ、はっ……はぁあああ…………こ、琴ちゃんホント……待って……そ、それ……し、心臓に悪い……」
「ね、お姉ちゃん。どう?」
「ど、どうって……何が……?」
「今のどんな感じだった?ちゃんとお姉ちゃんの口から説明して?気持ち悪かったり、気分良くなかったら嫌だもん。だから……ね?お願い。今のどんな感じだったか……説明してよ」
目を白黒させて戸惑うお姉ちゃんの耳元で囁きながら、間髪入れず今の感想を促す私。
「そ、それは……その…………い、言えない……」
「……ふぅうううう」
「あっ、あっ……!?ご、ごめんなさい言います!ちゃんと言いますから!だ、だからそれマジやめて琴ちゃん……!?」
恥ずかしい様子のお姉ちゃんは、私の問いかけに口ごもるけれど……もう一度お耳に息を吹きかけると……観念したみたい。素直になって顔を真っ赤にしながらポツポツ話しをしてくれる。
「え、えと……み、耳いっぱいに……琴ちゃんの吐息が広がってきて……」
「うん」
「あったかくて、やさしくて……なんだかやらしい吐息が……耳の外も中も満たしてきて……」
「うん」
「耳いっぱいに琴ちゃんが広がって……琴ちゃんで頭いっぱいになっちゃって……直接触れられてすらいないのに……ゾクゾクして鳥肌が収まらなくて……」
「うん」
「…………得も言われぬ感覚が……癖に……なっちゃいそう……だったり……」
「……へぇ」
お姉ちゃんの満点の回答に、私は思わず口元を歪めて笑う。そっか……そうなんだ。やっぱりお姉ちゃん……お耳弱いんだ……
そんなお姉ちゃんの愛らしい告白に、耳攻めされていない私までゾクゾクしちゃう。
「……そっか。お姉ちゃんってやっぱりお耳が敏感なんだね」
「う、うん……恥ずかしながらそうなの。だから琴ちゃん、これ以上は——」
「大丈夫。皆まで言わなくても良いよお姉ちゃん。ちゃんとわかってる。…………ふーふーするだけじゃ物足りないんだよね」
「うん、そうなの。こんなんじゃ物足りない…………はひ!?」
「安心してね。これからが本番。いっぱいお耳にちゅーしてあげる。いっぱいお耳をなめなめしてあげるから……!」
そうとわかればもう遠慮も何も必要ない。全力でご奉仕して、心ゆくまでお姉ちゃんに気持ちよくなって貰おう……!
「ちが、違うの琴ちゃん……!?これ以上やられたら色々と戻れなくなりそうだからやめて欲しいって事を言おうと……!」
「それじゃあ早速。お姉ちゃんのこのおいしそうなお耳……いただきます」
「っぅ!?」
お姉ちゃんが何か言っている途中だったけど。それを遮るようにかぷり、ともちもちの耳たぶに甘噛みする私。瞬間、お姉ちゃんはぶるるっ……!と全身を震わせて、声にならない歓喜の悲鳴を上げていた。
絶対に傷つけないように、最新の注意を払いながら。お姉ちゃんのお耳を食み、軽く歯を立て、そして音を立ててキスの雨を降らせて……
「ふ、ちゅ……ん、んぅ……れろ……。ちゅ、ちゅっ……れる……」
「あっ、……く、うぅぅ……!?」
まだまだ耳攻め勉強中な私の拙い耳攻めにも、小絃お姉ちゃんは十分反応を示してくれていた。身をよじり小さく震え、微かに甘い吐息を漏らすお姉ちゃん。
それがとっても嬉しくて。私はもっともっと気持ちよくなって貰うべく更なるステージに踏み込む事に。唾液をたっぷり塗り込んだ舌を、ゆっくりとお姉ちゃんの耳に這わせる。子猫がミルクを舐めるように、ぴちゃぴちゃペロペロと水音を立て。丹念にお耳を舐めてゆく。
「ぅ、ぁぁあ……!?だ、だめ……舌は……ダメ、それだめ琴ちゃん……っ!と、鳥肌……さっき以上に、おさまんない……からぁッ!?これ以上は、お……おかしく、なりそうで……!?」
「んちゅる……ぁむ……ぇろ……れろれろ…………ふぅ……大丈夫、おかしくなっていいんだよお姉ちゃん。リラックスして……何も考えないで……ただただ、気持ちいいことだけに集中して」
大きく身体を仰け反らせ、溺れるようにバタバタ手を振るお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんの手をやさしく握り。私は止めることなくお耳を舐め続ける。……不思議。味なんてしないはずなのに、お姉ちゃんのお耳はとってもおいしく感じちゃう。形といい、しっとりつやつやしている肌といい……まるで私に舐めてもらう為に出来た器官みたい。正直いつまでも舐めていられそう。
「んっ、んん……じゅるる……ぺちゃ、れろぉ……」
「ふ、ぁ……ぁ……こ、琴、ちゃ……もぅ、ゆるひてぇ……」
お顔を真っ赤にして、ひぃひぃと息を切らしながらお姉ちゃんはそう懇願してくる。……やめて許してと言う割には目はトロンとなって期待に濡れているし、口元はだらしなく半開きで涎が垂れているしで……誰がどう見てもやめてほしいって感じじゃないことをここに記しておく。やだ、お姉ちゃんすっごく可愛い……!
そんな愛おしいお姉ちゃんの期待に応えるべく。私はさらに気合いを入れる。唾液を溜めてから、唾液を纏った舌を矢のように尖らせる。お姉ちゃんの耳穴に狙いをすまし、そして……勢いよく私はその舌先を、穴の中へとずちゅりと音を立てて突き立てた。
「ひっ……!?ぐぅ……っお゛おぉお゛……ッ!!!?」
これには今の今まで必死に声を抑えていたお姉ちゃんも、耐えられなかったようで今日一番の素敵な声を響かせる。さっきの比じゃないくらいダイレクトで強烈な舌での刺激が。お姉ちゃんの穴という穴を犯してゆく。
ぬるりと入り込んだ舌を耳かきみたいに出し入れしてお姉ちゃんの耳の奥を……お姉ちゃんの頭の奥を。ドロドロに溶かして侵入し。くすぐり舐めとり吸い付いて。ねっとりと、じっくりと。全力で舐め続けて私という存在でお姉ちゃんを征服してゆく。
「……お姉ちゃん、わかる?お姉ちゃんのお耳の中ね……もうすっごいことになってるよ。私の唾液でどっろどろになってて。お耳も蕩けてふにゃふにゃになっちゃっててさ」
「ぁ、ぅ……あぁー……」
息も絶え絶えになっているお姉ちゃん。よかった、これだけでもずいぶん気持ちよさそうだ。お姉ちゃんをちょっとでも満足させてあげられたみたいだし、初めてにしては上々だろう。
……とはいえ、だ。
「お姉ちゃんごめんね」
「は、はひ…………ご、めんて……にゃ、にゃにが……?」
「こっちばっかりじゃ……刺激が足りないよね?片一方のお耳だけだと、反対側が寂しい寂しいってお姉ちゃんのお耳が言ってるよ」
「…………ぇ?」
「だから……ちゃーんと、こっち側も……可愛がってあげるからね!」
「み、みぎゃぁあああああああ!!?」
まだまだ足りてないよね。だって……反対側が手つかずだったわけだし。そんな私の一言の直後、何やら青ざめた様子のお姉ちゃんは、なぜかじたばたとベッドの上で暴れるけど。
「……あーむっ」
「は、ぁああああん……っ♡」
片方の耳もさっきと同様に甘嚙みしてあげると。一瞬でお姉ちゃんは甘い声を上げて大人しくなり。私の攻めを粛々と受け入れてくれる。
「ふ、ふふふ……よかった。こっちもちゃんと気持ちいいみたいね。それじゃ……続けるね♪」
さっき片側の耳攻めでだいたい感覚は掴めた。お姉ちゃんのさっきの反応を参考にしつつ、アレンジも加えて……お耳をやさしく味わって快楽をお姉ちゃんに与え続ける。
「あ゛、あぁああああ……!だめ、だめだめだめ……き、きもちよすぎて……しあわせすぎて……お、おかしくなるぅ……!?ほ、ほんと、もう……むりぃ……!?」
理性が溶けてあられもない姿で喘ぐお姉ちゃん。涙目になりながらも恍惚の表情を見せている。この感じだと……そろそろ限界なのかな?
なら最後は……せっかくだし。あの日『未来の私』に教えてもらったとっておきを使ってみようか。
舌の動きをテンポアップさせ、今日一の刺激を与えながら私は……
「大丈夫、いーっぱい幸せになっていいんだよ。おかしくなっていいんだよ——『小絃』」
「~~~~~~っ!!!?」
舌を勢いよく抜いた直後。お姉ちゃんの耳元で畏れ多くも『小絃』と呼び捨てでお姉ちゃんの名前を呼んだ。
「あ、あはは。ごめんね急に。呼び捨てちゃうとか失礼だよね」
「…………」
「でも未来の私曰く、こうするとお姉ちゃんも喜ぶって言ってたし。物は試しにってやってみたんだけど……こ、こっちはどうだったかなお姉ちゃん?気持ち……よかった?」
「…………」
「って、あれ?お姉ちゃん?どうしたの?」
「…………(しーん)」 ←許容量オーバーの為気絶中
私の問いかけに反応がないお姉ちゃん。どうしたんだろうと顔を覗き込んでみると、安らかな顔で眠っていた。
あらら……どうやら疲れて寝ちゃったみたいだね。うん、無理もないか。今日もリハビリを一生懸命頑張ってたもんね。
「ふふふ……今日はここまで、かな。続きはまた明日やろうね」
個人的にはまだまだお姉ちゃんにいっぱい気持ちいいことしてあげたいところだけど。お疲れみたいだしゆっくり休んでももらうとしようかな。
身体を冷やさないように布団をかけ、スヤスヤ眠るお姉ちゃんの寝顔を少しだけ堪能させて貰ってから……いつものように私もお姉ちゃんの隣に横になる。
「今日も素敵な一日だったね。また明日も楽しい一日にしようねお姉ちゃん」
お休みのあいさつをしてから、私も先に夢の世界に行ったお姉ちゃんの後を追いかける。……おやすみなさい。大好きだよ小絃お姉ちゃん
◇ ◇ ◇
~なんでもない???の一日(深夜)~
もぞもぞ
「…………いかん、
大人になった琴ちゃんのあまりのダイタンなアレコレに。不覚にも意識を飛ばしていた私。慌てて飛び起き時計を見ると、時刻は深夜に入っていた。
……情けない。1時間くらい気絶してたっぽいな私……
「琴ちゃんは……」
もぞもぞ
今日もこっそり隣で眠る琴ちゃんの寝顔を盗み見る。私の愛しい従姉妹の琴ちゃんは……
「…………(じー)」
「……おね、ちゃん……コイトおねえちゃ……ごめんな、さい……ごめんなさいおねえちゃん……」
「ん……またうなされてる」
いつも通り愛らしい寝顔を見せてくれながら……いつも通り私の名を呼びながらうなされていた。
「……大丈夫、だいじょうぶだよ琴ちゃん。小絃お姉ちゃんはここにいるよ。お姉ちゃんは無敵だから。いなくなったりしないから」
琴ちゃんが寝入ったのを見計らっていつもは琴ちゃんを落ち着かせていたけれど。今日は不覚にも先に寝落ち(=気絶)しちゃってたから……どうやら琴ちゃんに寂しい思いをさせてしまっていたらしい。
自分の未熟さを恥じつつ。いつものように私は琴ちゃんに腕枕をしながら……子守唄を歌う母親のように、琴ちゃんの耳元で小さく声をかけ続ける。
「……あぁ。コイト……おねえちゃん……」
しばらくすると琴ちゃんは安心した顔で深い眠りについてくれた。うん、よかった。これで今日も琴ちゃんは悪夢を見ずに済むだろう。
「……ゆっくりおやすみ琴ちゃん。大丈夫。私はいつでも琴ちゃんのそばにいるからね」
もう一度だけそう囁いて。ほっぺに親愛の気持ちをたっぷり込めたキスをして。琴ちゃんを強く抱きしめながら、私は再び意識を落として夢の世界に舞い戻ったのであった。
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