第69話 情報交換の話を再開する

 

 霊泉は俺の質問に答え終え、モンスターである鎧を装着し直すとすぐにシュラたちの元へ向かった。それを見ていたイケシルバーは小さくため息を吐いた。


「すまぬの。あ奴は優秀ではあるのだが、どうしてもマイペースというか、好きなこと以外はあまり目に入らぬようでのぅ」

「あぁ、まあいいさ。俺に直接被害がある訳でもないし、シュラたちの方も見ているだけっぽいし、それにあの鎧の事も知れたからな」


 シュラたちを観察しに行った霊泉だが、観察しに行く際に少し勢いがあったため、もしかしたら許可なくシュラたちに触れるかもしれないと思っていたのだが、自ら言ったように観察するだけで直接シュラたちに触れるようなことは無かった。


「それならよいのだがの。では、話の続きをしても……」

「そうだな。そっちも別に暇という訳ではないだろうし、さっさと話しを終わらせようか」

「ふほほ。そう言ってくれるのは助かるぞい」


 そうして、俺たちは情報交換の話を再開した。


「それで、テイムモンスター以外の情報もあると聞いたのじゃが、どのような物なのかの」

「まあ、もしかしたら俺以外からも情報を得ているかもしれないけど、インスタントダンジョン関連だな」

「ほう? 確かにウロボロスの方にもいくらかそれについての情報は来ているぞい。ただ、正確な情報かそうかの検証はまだじゃな。そもそも、インスタントダンジョンが出現したのも昨日が初めてじゃったし、アナウンスがあったのもイベント中だったからのぅ」

「あー、確かに俺がインスタントダンジョンを見つけたのはイベント中だったな」


 確か、時間的にも個人戦の決勝トーナメント中だったはずだ。それに昨日はウロボロスのメンバーの大半はイベントに参加していただろうから、検証が進んでいないのも当たり前か。


「ふほほ、イベント中とは、まさかミヨさんはそれほど早くインスタントダンジョンを見つけていたとはのう。出来る限り情報を集めてから検証をする予定、とはいってもインスタントダンジョンを見つけるのが先じゃな。どうも、インスタントダンジョンの発生数はそれほど多くは無いようじゃから、少々検証には時間が掛かりそうなんじゃよ。それにインスタントダンジョンはクリアしてしまうと無くなってしまうようじゃしのう」


 まあ、クリアすると無くなってしまうのは検証するのには向いてないのは確かだろうな。


「そうなのか? まあ、ならその先のプレイヤーメイドダンジョンについての情報はあるか? おそらくこの情報を持っているやつはそう居ないと思うんだが」

「プレイヤーメイドダンジョン? ……じゃと?」


 ああイケシルバーの反応からしても、まだウロボロスが得ていない情報なんだな。

 まあ、おそらく実装されてから1日しか経っていないだろうし、この情報を持っているやつは自分の利益が確実になるまで普通は情報開示しないだろうから、仕方ないんだろうが。


「そう、プレイヤーメイドダンジョン。まあ、長いからPMダンジョンだな」

「ぬぅ。……プレイヤーメイド、という事は、プレイヤーがダンジョンを操作できる、という事かの? しかし、ミヨさんはテイムモンスターとインスタントダンジョンの情報しかないと……」


 イケシルバーの反応からPMダンジョンの情報がインスタントダンジョン関連だと気付いていないようだな。まあ、同じダンジョンとは言え、クリアすれば消えてしまうインスタントダンジョンが、プレイヤーが所有できるようになるとは簡単には思い付かないか。


「いや、嘘は言ってないぞ? PMダンジョンはインスタントダンジョン関連の情報だからな」

「ぬ? どういう……まさか、インスタントダンジョンがプレイヤーメイドダンジョンになるという事か!?」

「まあ、そう言うことだな」


 寝耳に水、とまでは言わないが、イケシルバーはかなり驚いた表情をして俺を見てきた。

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