第56話 テイムモンスターをゲートキーパーに
シュラたちをゲートキーパーに設定できるのか、っていや待て。ゲートキーパーって倒されるのが前提だよな? という事は、ゲートキーパーに設定したら死んでしまうのではないか?
「倒されたら復活できないシュラたちをゲートキーパーに設定するのはちょっとなぁ」
『いや、ゲートキーパーに設定したテイムモンスターは、倒されても復活するのじゃ。ダンジョンの中で出て来るモンスターは倒しても次の時には復活しておるじゃろ? それと同じようにテイムモンスターも復活するのじゃ』
「え? ……マジで?」
まあ、確かにダンジョンの中で固定されたモンスターは何度攻略しても同じ奴が出て来るけど、プレイヤーがテイムしたモンスターも配置さえすれば復活するとか、マジか?
『まあ、復活させる際にはDPが必要になるのじゃが。普通、復活に必要なDPはモンスターを配置する際に必要になるDPと同じ量が必要じゃから、DPが足りなくて復活できない場合もありえなくはないがの。すぐに復活できない場合は、一時的に復活は保留扱いになるのじゃ』
「さすがに何の消費も無く復活はできないのか。いや、当たり前か。それでも、すぐに復活できない時に即消滅みたいなことにならないのは有り難いな」
と言っても、復活にはDPの消費があるからって、それがマイナスになるってことは無いのだけどな。死んでも消えないってだけでプラスだし。
それに、テイムモンスターには戦闘経験値と言う隠しステータスがあるらしいんだよな。これはレベルアップのための経験値とは別物で、敵と戦うことで得られるものらしい。
死んだらそこまでのテイムモンスターにとって、この戦闘経験値を得るのは極めて難しい。格下相手だと獲得量が減るらしいから格上と戦うべきなんだが、それだと死ぬ可能性が高まるから下手に格上と戦わせる訳にもいかない。
そんな中で死んでも復活することが出来るというのは、戦闘経験値を得る上で非常に有用なものだ。
まあ、ダンジョンに強いプレイヤーが来なければ意味はないけどな。
となると、プレイヤーがたくさん来るようにダンジョンを弄る必要がある訳だが、どうしようか。
あれ? 待てよ。シュラたちをゲートキーパーに設定したら連れ出せないよな? それって通常エリアの攻略がつらくならないか? 俺一人で先に進むのは職補整の関係でレベルが上がり難くなるし、ソロプレイになるから攻略がつらくなるのでは?
「なあ、シュラたちをゲートキーパーに設定したら外に連れていけなくなる……よな?」
『いや、連れていけるのじゃ。ただ、その場合は能力が2割くらい低い劣化コピーが代わりのゲートキーパーになって、挑戦者と戦うことになるがの』
「なるほど」
『それと、その劣化コピーが戦って勝った場合は経験値などもしっかり獲得できるのじゃ。まあ、負けた場合は何も手に入らないがの。それに復活の際に使用されるDPが少し増えるのじゃ』
「ほう」
設定した上で連れ出すデメリットは若干弱くなるのと、負けた場合はDPが多めに消費されることくらいか。
それと、おそらくシュラたちが戦って負けた場合は、経験値を得られなくても戦闘経験値は得られるだろう。何も手に入らないっていうのは、劣化コピーにはそれが無いってことなのだろうな。DPの消費が増えるのは課金すればどうとでもなるから無視していいだろう。
『言い忘れておったのはこんなところじゃな』
「そうか」
いろいろ試したいことが出て来たし、このダンジョンをどんな感じに弄るかも考えないとな。とりあえず、シュラたちをゲートキーパーとして設定するのは確実だけど。
今後の予定をどうするかを考えていると、不意に装備の裾が引っ張られた。
「ん?」
引っ張られたところを見ると、どうやらぷらてあがやったようだ。今までこんなことをされたことは無いんだけど、どうしたんだ?
「じかん……だいじょうぶ?」
「時間? って、あ!」
そろそろログアウトしないと拙いな。思いの外、アンゴーラの説明に時間を取られたせいであまり余裕はない。
安全装置によるログアウト勧告アラートまで10分もない。さすがにここまで少ない時間でダンジョンを弄ることは無理だ。
「ぷらてあ、言ってくれてありがとうな。しかし、時間的にログアウトしないと拙いな」
ぷらてあの頭を撫でながら周囲を見渡す。そう言えばここから出るにはどうすればいいんだ。転移陣もないし、まあ、ここでログアウト出来るならそれでいいんだけど。
「アンゴーラ。ここってログアウト出来るのか?」
『ログアウト? ログアウト、というのはよくわからぬが、ここはダンジョンマスターの自室扱いじゃから寝ることは出来るのじゃ。外に出るのならダンジョン操作一覧から可能じゃな』
アンゴーラも一応NPCだからログアウトっていうのがわからないのか。でも、寝ることが可能ってことは、ログアウトは出来るみたいだな。
今からダンジョンの外に行って近くの町でログアウトってなると、微妙に時間が足りない気がするからここでログアウトするか。
そうして俺は地面に寝そべり、そのままログアウトした。
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