第19話 ロマン砲を放て!
――決闘はまさに一方的だった。
「はあああっ!」
Akiが剣を振るうと同時にドラグーンが火炎を吐き出す。
「【
Akiの【
ノインはすかさずジャスガするが……これで攻撃は終わりじゃない。
「グルァアアッ!!」
迫り来るドラグーンの牙。反撃をする暇もなく、バックステップして躱す。
「……っぅう!」
そしてユキの追撃。必死に抑えようとする努力も虚しく、全力でノインに刀を振るっていた。
「ふっ……さっきから逃げてばっかり。消耗戦にするつもりかい?」
3対1という圧倒的不利な状況で多数派がイキるのもおかしいが、Akiは鼻で笑う。
「まあ、お前も俺に1ダメージさえ与えられてないがな。喋ってる暇があるんだったら、攻撃してこいよ」
対して不利な状況でもノインは平然としていた。その顔には焦りの一つもない。
しかし、ユキにはわかっていた。ノインが一切自分には攻撃するつもりがないことに。
「その余裕もいつまで持つかな!? 【
Akiの攻撃は止まらない。
風と炎の刃、止まらぬ斬撃、迫る巨大な牙に爪……。ジャスガして何処に逃げようが、ノインに安息の地はない。ありとあらゆる攻撃が彼を襲う。
ノインはジャスガしては躱し、ジャスガしては躱し……猛攻に耐え続けるしかない。
「……ちっ、ちょこまかと!」
……そして戦闘開始から15分経過。苛立ちを覚えてきたのはAkiの方だった。
誰がどう見ても完全有利なこの状況。だというのに1ダメージも与えられず、無駄に時間ばかりが過ぎていくのみ。
まるで自分が弄ばれているかのようで、実に気持ち良くない状況である。
――ダメージさえ与えれば、完全にこっちのものなのに!
「ノイン、さんっ! 私を攻撃してください! 2対1に持ち込めば勝機はあります!」
一方でユキは刀を振りながら、精一杯ノインに攻撃指示を出していた。
だが、全てジャスガするノインは首を横に振る。
「ダメだ。先輩には攻撃しない」
「……どうして、どうしてですかっ!? こんな時に仲間意識を感じてどうするんですか!? ここはゲームの世界! 私は実際に死ぬわけじゃないんですよ!? さっさと攻撃するのが効率的でしょう!?」
「ああ、確かにな。まずユキ先輩をダウンさせ、次にあの金髪野郎を狙う、もしくは最初から狙う。あいつさえ倒せば、ドラゴンもユキ先輩も戦闘不能とみなされるんだろう。確かにそうやって戦った方が効率的だ」
「……だったら!」
「でもな、ユキ先輩。俺にも譲れないものっていうのがあるんだ。ユキ先輩だけは攻撃しない」
「こんな圧倒的な不利な状況で意地張ってる場合ですか!」
「ああ、意地でもなんでも張らせてもらおう。俺は攻撃しないぞ」
「……ノインさんのわからずやっ!」
抑えられず猛攻を仕掛けるユキ。それに息を合わせるかのようにドラグーンが突っ込んでくる。
「っと!」
ノインは素早くスライディングをし攻撃を躱した。
「……ひゅー。あぶねぇ」
――そろそろバーサークモードを使うか? ……いや、まだ早いな。
対してノインの方も焦りはしていないが、そろそろ動かなければとも考えていた。ぶっちゃけ消耗戦だったら負ける気はしない。何百時間でもやり続けてしまえばいいだけなのだから。
しかし、それではダメなのだ。彼がやりたいことはそんな事ではない。
彼にはとある作戦がある。その作戦に必要不可欠なのは――ユキの生存。
「……そうかそうか。最初からそうすればよかったんだな」
二人のやり取りを聞いていたAkiは口角が上がる。
彼にも作戦が閃いたのだ。ノインを確実に追いつめる最適な作戦が。
「ブラストドラグーン! ユキに攻撃しろ!」
「なっ……!?」
「――っ!」
その指示を聞いた時……初めてノインの表情が強張った。
「は、はははっ! ようやく余裕そうな顔を変えたね!? その顔が、ずぅっと見たかったんだよ!」
実に厭らしい笑みを浮かべるAki。
そう――ノインが避け続けるのであればユキを攻撃するだけ。どういう理由かわからないが、ノインはユキを攻撃したがらない。ユキを生かそうとしているのだ。
――それならばユキを狙ってしまえばいい!
「くっ……!」
「おっと、行かせないよ」
慌ててユキの元へ駆け寄ろうとするノインだが、Akiに行く手を阻まれる。
「【
無数の風の刃が彼に襲い掛かった。
「こ、のっ……!」
「はは、どうしたどうしたっ! このままじゃ、彼女は丸焦げになっちまうぜ!?」
ノインの初めての焦りに、Akiの挑発は止まらない。
一方で――ユキは己の運命を受け入れていた。いや、むしろ好機だと考えていた。
――これで私が退場すれば2対1になる。私としては絶望的な状況に変わりないけど……ノインさんなら、きっと勝てるって信じてる。
彼女はもうどうしようもないのだ。自分の意志で動けず、ただただ仲間に言葉を投げかけるばかり。
このまま操り人形のままならば、そんな役割しか果たせないのであれば……彼女は喜んで死を歓迎するつもりなのだ。
ブラストドラグーンは口を大きく開き、ユキに向けて炎を吐き出す準備を始める。
「……【アクセル】!」
その瞬間……とうとうノインはスキルを発動した。
――かかった!
Akiは内心にやりと笑う。
【アクセル】は僅かの間速度を5倍まで引き上げるバーサーカーのスキル。非常に強力なスキルだが……クールタイムは30秒。ここで使用してユキを助けるまで、効果は持たない。
彼はノインのことを敢えて見逃す。先にあるのは地獄だと知っているからだ。
「ノインさん!? 来ちゃダメです!」
全てを焼き尽くすかのような豪炎が放たれる。
「……あのな、ユキ先輩」
ノインはユキと炎の間に立った。
迫り来る炎にジャスガのタイミングを合わせる。
そして……!
――今だ!
「ユキ! ノインを攻撃しろっ!」
「っ!!!」
――斬!
……凄まじい火炎と一本の刃が同時に襲いかかり、衝撃音と黒い煙が舞い上がった。
「はっ……ははっ……はははっ、はははははっ! やった、やったぞ! やっと攻撃を与えたぞ! はははははははっ!」
Akiは狂ったように笑いだす。
「そりゃそうだよなあ? 盾は一つしかないんだから……左右から2つ来る攻撃を防げるわけないよなあ!?」
つまり……ノインは同時にジャスガできない。
「馬鹿だなあ。そんな女、さっさと捨てちまえばよかったのに!」
ユキを庇っていたからこうなった。
ユキの言う通り、先にユキから倒しておけばこうならなかったのだ。
「さあ、攻略法は掴んだ。こっからはお前が嬲り殺されていくんだ……まあ? もっとも? 今の攻撃で無事なら、の話だが?」
やがて煙が晴れていく。
ユキは刀をノインに振った腕を信じられないような目で見ていた。
「可哀想だねぇユキちゃん。君はなぁんにも悪くないのに、その男のせいで責任を感じちゃうだなんて」
もはやAkiのあの爽やかな態度は何処かへ消え失せている。その顔は残酷な笑みを浮かべていた。
「……そ、そんな……!」
「さぁ! 見せてみろよ! 庇った仲間に斬られた、無様な姿をよぉっ!」
やがてノインがいる場所も煙が晴れていく。
「ひゃはははっ! どんな気分だい!? 初めてダメージを与えられた――」
【ノイン
HP 844/844
MP 135/135】
「……気分、は…………?」
一瞬、見間違いかと思った。
目を擦り……再びノインの方を凝視する。
【ノイン
HP 844/844
MP 135/135】
「………………はぁ?」
そう――彼は1ダメージも受けてないのだ。
「……そ、そんな馬鹿な!? チートだな!? チートを使ったんだな君ぃ!? 卑怯だぞ!? このチート野郎!」
卑怯などと、今更どの口が言うだろうかとばかりにチートを連呼し始めるAki。
ユキは確かに見ていた。
ジャスガが成功した時に放つ光。
――その光が盾とノインの篭手、同時に放ったことに。
「は? チート? ――ジャスガできるのが盾だけだと思ってるのか?」
「……こ、篭手でジャスガしたっ!」
ジャストガード――それはタイミングをぴったり合わせなければ発動できない。
盾でもコツがいるのに、よりによって篭手でジャスガ。どんな達人でも出来るか出来ないのか、至難の業。
それを平然とやってのける人物が、ユキの目の前にいた。
――チュートリアルに50,000時間かかり、防御を捨てたタンク職が!
「っていうか、そんなことはどうでもいいんだ」
「そ、そんなこと!?」
結構衝撃的なことをしたというのに、ノインはどうでもいいとばかりに切り捨てる。
「あのな、ユキ先輩。一つ勘違いしてるぜ」
「勘違い……? 勘違いって、何が――」
と言いかけ……そこでようやく気が付いた。
どうして今まで気が付かなかったんだろうか。
「……ここまで先輩をコケにされて、内心穏やかなわけねぇだろ」
――今まで一度も怒らなかった彼が、心の底から怒っていることに。
「20分経過」
「はあ?」
「決闘を始めてから20分経過した……ここから俺のターンだ。【バーサーク3rdモード】」
【名前:ノイン
メイン:ディフェンサー Lv.45
サブ:バーサーカー Lv.37
HP:1/1
MP:0/0
攻撃:8308
防御:0
魔功:0
魔防:0
素早さ:6622
スキル
【シールドスラッシュ Lv.6】【バーサーク Lv.7】【ブラスト Lv.5】【プレス Lv.7】【タウント Lv.8】【メテオ Lv.1】
】
と。
ここでノインが戦闘態勢に入った。
彼の周りに赤いオーラと稲妻が同時に纏われる。
「……はぁ? ここから俺のターン、だぁ? 何言って――」
「まずはお前からだ、赤いの」
瞬間。
ノインの身体がぶれ――気が付けばドラグーンに刃を振るっていた。
『840』『878』『865』『852』『896』『845』『859』『887』『894』『853』
「グォオッ!?」
「な、なにぃ!?」
それはコンマ1秒の出来事。
目にも止まらぬ速さで10連撃が見舞われる。
『867』『879』『885』
「グルォオオッ!」
『872』『856』『832』
「……悪いな、お前に罪はないのに」
『897』『846』『836』
「文句があるなら、自分の主人に言ってくれ」
『847』『823』『899』
語りかけながらもひたすら振るわれる斬撃。まさに猛攻。
「ユ、ユキ! ブラストドラグーンの援護をしろ!」
「っ!」
慌てて指示を出すAki。ユキの身体はそれに従うかのようにノインに特攻をかけた。
……だが、それはノインの足止めにすらならない。
「おい、お前仮にもユキ先輩と1年いたんだろ? 何にもわかってねえな」
「なに?」
ユキの攻撃をジャスガしつつ、ノインはAkiに言葉を投げかける。
「先輩の剣技はな、力技じゃねえ。もっと繊細で綺麗な動きなんだよ」
――いや、なんか目の前で言われると恥ずかしいんですが。
いたって真剣な場面なのに、ユキの頬がやや赤く染まっていく。
「何が言いたいんだい?」
「つまりだな――」
ノインはユキに目配せする。
「……っだぁぁぁぁぁああああああっ!!」
ユキはその合図に気が付くと――自ら渾身の一撃を放った。
すかさず繰り出されるジャスガ。
そして……。
「なっ……!」
「……こんな乱暴な振り方を指示してるんじゃあ、『鬼斬』は壊れる」
真っ二つに折れた刀を見て、Akiは唖然とする。
これで戦力が一つ、消えた。
「あとさ、さっきから気になってたんだが……お前、先輩のことをなんだと思ってるんだ?」
「は、はぁ? 意味がわから――」
「ユキ先輩は『モノ』じゃねえんだぞっ!!」
その怒声に、Akiのみならずユキまでも体をびくつかせた。
「この人は誇り高き│
「……ひっ」
ノインの全てをぶつけるかのような怒りの感情。
Akiの戦意は喪失されつつあった。
「だから、俺はお前を許さねえ……!」
「ひぃっ、ド、ドラグーン!」
「グォォォォォオオオオオオオッ!!」
ノインから放たれる殺気に、たまらず残りの戦力に助けを求める。
ドラグーンは翼を広げて飛ぶが……そこにノインの姿はなかった。
「お前もしばらく休んでろ」
背中から駆け上がり、ドラグーンの頭上に飛び上がったノインは剣を振った。
『829』『815』『846』『823』『865』『847』『885』『874』『821』『895』
――斬!
「グルォオオオオオオオッ……!!」
ノインの攻撃にブラストドラグーンは悲鳴をあげ――そのまま地に落ちていった。
凄まじい衝撃で追突するドラグーン。そして……そのまま動かなくなってしまう。
【名前:Aki
メイン:テイマー Lv.72
サブ:ナイト Lv.67
HP:1246/1246
MP:839/839
攻撃:479
防御:839
魔功:551
魔防:839
素早さ:767
スキル
【テイム Lv.4】【
】
「……やっぱりな。こいつが倒されれば龍の加護も消えると思ってたさ」
「っ! う、うわああああっ!」
龍の加護が消えたことにより逃げ出そうとするAki……だが。
「どこに行くつもりだ? お前から『逃げるな』って言ったんだよな?」
「ひぃいっ!?」
一瞬でノインは回り込んだ。
「や、やめ……」
「いくぜ――!」
ノインはそう言うと、短剣を高く掲げた。
「あああああああああああっ!!」
恐怖に耐えきれず、悲鳴をあげながら全速力で逃げ出すAki。
その姿にはあの爽やかな雰囲気も、余裕ぶった態度もない。
敵わないと悟った相手に背を向け、ただ逃げ惑うことしかできない姿のみだ。
しかし、彼の行く手は思わぬことで阻まれる。
「っ!? 邪魔――!」
Akiの目の前にいたのは――ドラグーンの巨体。
知らず知らずのうちに、彼は追い込まれてしまっていたのだ。
「……さて」
ノインはゆっくりとAkiへと近づいていく。
「く、来るな……来るなあああああっ! 【
追いつめられたAkiは、その威圧に耐えられず苦し紛れのスキルを放つ。
「はっ――!」
ノインはその一撃をジャスガすることなく、跳び上がって躱した。
風の刃に地面に当たることによって起きた風圧に乗り、ノインは天高く舞い上がる。
「俺はなぁ! もともとこういうことがしたくて、このジョブを選んだんだよ――【ブラスト】!」
そう叫び、スキルを発動。盾を足下に置くように落とし、身を屈める。
それは密かに練習していたスキル。
【プレス】というディフェンサーの攻撃技と、バーサーカー特有の倍加スキルを組み合わせ、ようやく完成したのだ。
なんと戦闘で一回きりしか使えない制限つき――いわばロマン砲!
右足に力を込め――思いっきり盾を蹴りつけながらAkiに放つ。
「――【メテオ】ォォォオオオオオオッ!!」
「ひぃぁぁぁあああああああっ!?」
『1,245』
――白銀の流星が飛来した。
隕石でも衝突したかのような凄まじい衝撃に、遠くにいたユキも吹き飛ばされそうになる。
「……やっぱりプレイヤーとモンスターとのダメージ計算は違うんだな。ミノタウロス相手なら3万越えしたっていうのに」
ノインはそうぼやくと、驚きのあまり固まってるユキに声をかける。
「おーい、ユキ先輩。あいつ瀕死状態だから、もう自由に動けるぜ」
「えっ……あっ!」
そう言われて、ユキは自分の首についていた輪の光が弱くなっていることに気が付いた。
「やっぱりテイムは戦闘が完全に終了しないと不完全なんだな。どうりでユキ先輩の動きが悪いと思ってたぜ」
「……あ、あのノインさん……私……」
「ユキ先輩ストップ。まだ、終わっちゃいないのさ」
「……え?」
ユキが何か言う前に、ノインは手で制し指さす。
【Aki
HP 1/1246
MP 830/839】
「がっ……あっ……!」
「……っ!!」
Akiはまだ生きていた。
残りHPはたったの1。つまりどんな攻撃でも即座に瀕死となる状態である。
今のノインと全く同じHPだと言うのに……完全に優勢なのはノインの方だった。
「ゆ、許してくれ……! 悪かった……! 降参、降参する……! ユキちゃんにはもう手を出さないから、倒すのはやめてくれ……!」
残りの力を振り絞り、Akiは泣きじゃくりながら命乞いをする。
だが、ノインは冷酷だった。
「は? お前の命乞いを聴くためにわざわざHP1だけ残して調整したわけじゃねえんだよ。降参を選べるのはな……実際に決闘を承認し合った二人だけなんだぜ?」
「なっ――ぐ、ぅっ!?」
地面に倒れるAkiの首を掴み、無理矢理立たせる。
彼の背後にあるのは――崖。
今こそ決闘が終わってないため、5m以内で止まるが……もし終わってしまえば、もう5mの壁はない。
「さて、ユキ先輩……こいつ、どうする?」
「…………!」
ノインの問いかけに、ようやくユキは理解した。
つまり、ノインがユキを生かしたがっていたのはこの為だったのだ。
許せないのは確かだが……倒すかどうか判断するのは自分ではなく――ユキであると。彼はそう言いたいのだ。
「ユ、ユ、ユキちゃん? お願いだ、降参を選んでくれっ! 降参してくれっ! 悪かったよ! もうこんなことしないし、君を無理矢理連れて行こうともしない!」
と、今度はAkiはユキに問いかける。
「僕が今、こいつに倒されたらどうなるか……ユキちゃんならわかってるよね!?」
「レベル差はそれぞれ27、30だから……まあLv.60に落ちるわけだな」
「ほ、ほほほら! 聞いただろう!? RROのレベリングはすごく大変なんだ! そりゃもう、Lv.60以上にまでなると、これまでとは比べ物にならないくらいに! こいつはそのレベルを9.5も落とそうとしてるんだっ! こんなひどい話、あっていいわけないだろう!?」
「…………」
「……ユ、ユキちゃん? 嘘だよね? 降参してくれるよね? ねぇユキちゃ――」
「馴れ馴れしく名前を呼ばないでもらっていいですか?」
ピシャリと。
今までAkiに苦手意識を持っていたユキが――毅然とした態度で彼の命乞いを遮った。
彼女は軽くため息をつく。
――私がなんて言うのか、わかってるくせに。本当……この人は。
大きく息を吸い……はっきりと告げる。
「降参はしません。このまま負けてください」
「……だとよ」
ユキの返事を聞いたノインは、Akiの方を振り返ると拳を固める。
「そ、そんなっ! やめ! やめてくれ!」
「よかったな。これでお前はもう俺に邪魔されずに済むんだぞ」
「ひ、ひぃぃぃいいいっ!」
「――金輪際、ユキ先輩に近づくなぁぁぁっ!!」
「ぶっ――ぁぁぁぁぁああああああっ!!!」
『1』
【Aki
HP 0/1246
MP 839/839】
鉄拳を食らったAkiは……HPを0にし、そのまま崖へと落ちていった。
【You Win!】
「ふぅ、ようやく決着がついたな」
「……ええ。そりゃもう、色々な意味で」
ノインは表示される文字を見ながら、息をつく。
ユキにとっては本当に……本当に長い戦い。
ちょうど夕陽も沈みかけ、今日という日の終わりを告げていた。
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