第12話


その日の夜は特にこれとって

妹とのイチャコラとかあったら困る系のヤツは何もなく。


兄妹の距離感に関して母さんに何か問い詰められる訳でもなく、平穏に過ぎていった。


だが、翌日。体育館には

二学年のみしかいない、バレークラスマッチの時間に俺は思わぬ災難に巻き込まれることになる。


学校では、妹以外、誰も知らなかった

俺の素顔が、ちょっと試合中、よそ見をしていたばっかりに、近視を矯正してたメガネが

相手チームにいた男子バレー部エースのイケメンアタッカーの強烈なスパイクによって、

吹っ飛ばされたのだ。


勿論、そんなに高くはないが大事なメガネはどこかに吹っ飛ばされた模様で行方不明だった。


俺が何故、試合中にもかかわらず、よそ見をしていたかって?

すぐ隣のコートで、Tシャツのサイズ合ってない、高身長女子がいてだな。

結構可愛いバレー部の彼女がスパイクを打つ度に、

お臍とくびれがモロに見えたから、

それをチラチラと拝んでいたのがいけなかった。

つまりな、

俺が痛い目に遭うのは自業自得だった。


俺のメガネを壊した張本人の男子バレー部のエースの藤島くんは、かなりのイケメンなのだが。


性格は悪い。


陰キャなんてゴミだねw

と陽キャなやつしかまともに相手にしないやつで、とにかく俺みたいな地味男を馬鹿にする男だから、

俺が尻もちを付いて

あちゃー、と思って下を向いてても。


「あー、陰キャくーん!わっりいー、わっりぃー!!わざとじゃないよ!わざとじゃない!」


「ボールが向かってきたらちゃんと避けなきゃ

ダメじゃないか...!ま、もっとも、陰キャにそんな反射神経はないか!!wwwww」


悪びれる様子は一切ない。


狙ったのかもだが、


ぼけっとしてた俺が悪いっちゃ悪いけど、


演技でいいから、ちゃんとした謝罪を

一応しろよ、と俺は思った。









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