第263話 大砲
「今の我であればより強力ででかいものも容易に作れる。……そうだな、これの名前は『氷結キャノン』とでもしようか」
我は『氷結リボルバー』とは比べ物にならないほどの威力を有する大砲を3つほど作ってみせた。
【1】は以外にもこれを作る間手を出してこなかったが、それ程この戦いに余裕があるということなのだろうか。
「威力も速さも『氷結リボルバー』の比ではないぞ。お主とて魔力を吸収する前に木っ端微塵だ」
「……面白い。そのスキル、俺が食ってもらって際には軍事的に利用させてもらう」
「ほう……。食えるものなら食ってみるがいい!」
――ドゴン
遠隔操作によって3つ同時に放たれた氷の大砲の弾は、【1】の元に一直線。
しかしこれを【1】更には周りのシードン共も避けた。
だがこの弾は拡散する。
着弾後弾けとんだ氷は奴らを襲い、しかもその冷気で地面を凍らせる。
流石の【1】もこれを全て避けることは出来ず、所々それが突き刺さっている。
まぁ致命傷には程遠いが……周りの奴らにはそれなりに効果があったみたいだ。
「「ぐおっ!」」
「周りのシードンは今ので足を止めざるをえなくなった! 手空きの者は今のうちに他のシードンを殺してくれっ!」
我の合図で戦いを見守っていたメロウや人間が動き始めた。
このひりつく感じ、これこそが戦場。
「なるほど……あれはあくまで総力戦の為の働きでしかなかったわけか。リヴァイアサンは随分と共闘に慣れているのだな」
「もう何年も前だが仲間と一緒に戦っていたからな。だからといってお主と戦ってやらんわけではない安心しろ」
「それはありがたいな。こっちとしても連携だなんだでお前との滾る戦いが終わってはつまらん」
「ふっ。言ってくれるわ。その発言後悔せんことだな」
我はメロウの体から元のリヴァイアサンの姿へと戻る。
他を圧倒する巨体と滞りなく全身を巡る魔力。
こっちの姿は窮屈さがなく実に快適だ。
「メロウのような姿に変化があると思ったが、やはり本来の姿もか」
「この姿であればスキルなど使わずともお主を殺せるかもしれんなあ。ほれ、必死に逃げてみろ」
我は自分の尻尾に意識を集中させて、【1】をそれで叩き潰しにかかった。
図体がでかいと動きが遅くなると思われがちだが、我の場合この姿のほうが素早く動ける。
【1】がどれだけ素早かろうと捉えられる自信はあ――
「……これは重たいな。だが受けきれんほどでは、ない!」
避ける事なく尻尾の下敷きになった【1】はそれを担ぎ上げて我の体ごと投げる。
「ぐっ! まさかここまでの力を有しているとは思わなんだぞ」
「元々女王は俺よりも器用なタイプではない。その本質は力。【3】以上の力が備わった俺に最早死角はない!」
「我こそそんなものを食らってやるつもりはない!」
【1】の振り上げた拳に抵抗する為に我は体を氷で覆うと氷に何本もの刺を作るが……
――バリン
最早その程度の足掻きが通用する相手ではなかったのだった。
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