第213話 進化の光
【5】のシードンの生首を見た【6】のシードンは動きを止め、口をあんぐりと開けた。
その間抜けな顔からどれだけ衝撃を受けているのかが面白いくらいにに伝わる。
「がぁっ!!」
そんな【6】のシードンの心情なんて知ったこっちゃないトゲくんによる尻尾攻撃。
凍った尻尾の先端はいとも簡単に俺の目の前にいる【6】の心臓を貫き、他の箇所にも連続で穴を空ける。
【6】のシードンだってそれなりに防御力があるはずだが、それを上回る攻撃力が今のトゲくんにはあるって事かな。
「ナイスっ!」
「がぁっ!」
「これはご褒美だっ!!」
俺が褒めてやると嬉しそうな鳴き声を上げるトゲくん。
いつの間にか好感度もそこそこになっているみたいだと感じた俺はトゲくんに向かって【5】のシードンの頭を放った。
因みに手に入れた真珠もその中に入れたまま閉じていたが――
バリ、ゴリゴリゴリ、バキッ!!
今のトゲくんの牙に掛かればあれだけ硬かった真珠も簡単に砕けるみたいだ。
決してその状態にしていた事を忘れてて、そのまま飲み込んでしまったらどうしよう、とか、勿体ない事をしてしまったか? とか、放った後にちょっと焦ったとかそういう事はない。
「う、あ……」
「が、ぁ……」
トゲくんが無事経験値を吸えたと確信し、ほっと胸を撫で下ろしていると目後トゲくんに異変が起きた。
少し苦しそうな表情、そしてその身体は白く光る靄に包まれる。
これはもしかして進化か?
「「ぶもおおおおっ!!」」
「やばっ!」
その光景に目を奪われていると、10匹程のシードンがそれに向かって突っ込んでいった。
進化すると大幅に強くなるという事をモンスターであるシードン達は当然理解しており、それを阻止しなければまずいと身体が動いたのだろう。
今の状態のメア達は無防備。
いくらレベルが高くないシードン達だからとはいえ、攻撃させてしまうのはまずい。
俺は咄嗟に『即死の影』の翼から羽を飛ばした。
しかし、捉えられたのはたった2匹。
残りはまっすぐにメア達の元へ。
「くっ! 『瞬――』」
俺はダメもとで『瞬脚』を使おうとした。
だが、その瞬間辺りはまばゆい光に包まれ、視界は真っ白に。
俺は条件反射で目を閉じる。
「――メ、ア。トゲくん」
数秒後、俺は光によって重くなった瞼を必死に開けようとしながら、2人の名前を呼んだ。
すると、耳にビシィッという音が響き、辺りが1段と寒くなった。
そして……。
「私達は大丈夫よ。それより勝手に、無鉄砲に行動しないで。……その、あんまり私を心配させないでよ」
薄目で見た先に居たのは、王冠の様に3つの小さな角を生やしたメアとワニの様に小さい手足とまだ飛ぶ力はないであろう小さい翼を生やしたトゲくんの姿だった。
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