第102話 月光の騎士
翌朝、ヴィムは昼前くらいの時間に起き出した。
「おはよう」
「おはようございます」
ヴィムがリビングに向かうと、ハナが居た。
「ミサはまだ寝てるのか?」
「まさか、ヴィムさんじゃないんですから。ミサさんなら中庭にいると思いますよ」
「そうか、まあ、そうだよな」
ミサは毎朝、中庭で素振りをしているらしい。
「飯は食ったのか?」
「はい、私とミサさんはお先に頂きました」
「じゃあ、俺も食っちゃうか。食べたら王宮へ行こう」
「わかりました!」
ヴィムが朝食か昼食かわからない、中途半端な時間のご飯を食べ終える頃にミサが額にかいた汗を拭きながら中庭から戻ってきた。
「ミサも戻ってきたし、そろそろ王宮へ行くか」
「では、着替えてきます」
そう言って、ミサは部屋に戻り、いつもの騎士服へと着替えて戻ってきた。
「お待たせしました」
「よし、じゃあ行きますか」
ヴィムはソファーから立ち上がった。
そして、ヴィムはミサとハナを連れて王宮へと向かう。
ベイル伯爵からある程度のことは聞いているだろが、ヴィムの口からも報告しなければいけないこともあるだろう。
「お待ちしておりました。ご案内いたします」
いつもの従者が王宮内を先導する。
今日はどうやら、いつもの応接間ではないらしい。
「こちらで、陛下たちがお待ちです」
そこは謁見の間であった。
ヴィムがここを訪れるのは陛下からSランクの称号を授かって以来だろうか。
「なぜ、謁見の間なのでしょう?」
「私の口からは何も言えません。陛下のご指示としか」
「わかりました」
ヴィムは半ば諦めた様子で言った。
重々しい謁見の間の扉が従者の手によって開かれる。
規定の位置まで行き、片膝を付いて頭を下げる。
赤い絨毯の横には国王陛下だけではなく、国の重鎮と呼ばれる人たちが複数いる。
「面を上げよ」
陛下の言葉でヴィムたちは顔を上げた。
「此度の働き、ご苦労であった。そなたらの活躍で魔獣の群れから我が国を守ることができた。私から褒美を授けようと思う」
そこまで言って、陛下は一呼吸置いた。
「まず、ミサ・フルメン。此度の活躍を評価し、Sランク冒険者に任命する!」
周囲からざわめきが起きる。それも当然だろう。
女性のSランク冒険者というのはここ30年以上出ていない。
レオリア王国では史上初の女性Sランク冒険者だ。
「ありがとうございます。Sランク冒険者、拝命致します」
「貴殿には月光の騎士の二つ名を授ける」
ミサもS ランクとなったことで、二つ名をもらうことになった。
その名は……《月光の騎士》
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