第101話 休息
王都に戻った時にはもう、日が落ちてきていた。
陛下への報告は明日にするとしよう。
「みんな、お疲れ様。ゆっくり休んでくれ」
空間魔法で移動したとはいえ、数万の魔獣を相手にしたのだ。
肉体の疲れもあるが、それより精神的疲れが大きいだろう。
「風呂でも入るか」
ローブを脱いでリビングのソファーに無造作に置いた。
これはつい癖でやってしまうのだが、アーリアにちゃんと洗濯物は渡してほしいと怒られることもしばしばである。
「お風呂沸いてる?」
「はい、ヴィム様が入られるかと思いまして、沸かしておきました」
「ありがとう。今から入ってくるわ」
「かしこまりました。お着替えとタオルをご用意しておきます」
「うん、ありがとう」
アーリアにお礼を言うと浴室へと向かう。
脱衣所で服を脱ぐと、フェイスタオルを持って浴室へ入る。
この屋敷のお風呂は大きい。
一人では持て余してしまうほどである。
湯船に浸かると、お湯に疲れが溶けていく。
「やっぱりこれはいいなぁ」
魔獣というドス黒いオーラを放ったものを相手にするのは、精神的な疲労が大きい。
そんな疲れも癒やされていくのを感じる。
ヴィムが湯船に浸かって手足を伸ばしている時、脱衣所の方から何やら賑やかな声が聞こえてきたような気がした。
そして、浴室へと続く扉が開けられ、ミサとディアナがほぼ裸の状態で現れる。
「え……」
ヴィムは思考が停止するのを感じた。
「おお、マスターじゃないか」
「ヴィ、ヴィムさん!?」
ミサは頬を真紅に染めている。
一方でディアナの方はそんな様子もなく平然としている。
どうやら、精霊というのは俺たちとは感性が違うらしい。
「すまん、俺はもう上がるからゆっくり入っていてくれ」
「マスターも一緒に入ればいいのではないか?」
「出来るか!!」
ただでさえ、少し長風呂かなと思うほど湯船に浸かっていたのだ。
こんな美少女二人と呑気にお風呂なんか入れてたまるか。
ヴィムはタオルを腰に巻いて浴室を後にする。
「全く、危なかった……」
理性と本能が一瞬葛藤したが、理性が勝ってくれた。
本来ならこういう展開は喜ばしいのかもしれないが、ミサもディアナもスタイルがいい。
目のやり場に困るというものである。
「ちょっと考える必要があるかもな」
この屋敷には圧倒的に女性が多い。
それもみんな可愛い女の子だ。
男はヴィムと執事のジェームズ、後は警備の人間くらいだろう。
「とりあえず、今日は寝るか……」
湯船に浸かったからか、疲れが表面に出てきたのだと思う。
一気に睡魔が襲ってきてしまった。
寝室へ向かうと、ヴィムはベッドに倒れ込んだ。
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