第77話 迷宮攻略編

 ヴィムが放った魔法は見事にワイバーンに直撃する。


『グォォォ!!!!』


 魔法を正面から受けたワイバーンは咆哮する。

一瞬、怯んだワイバーンにミサとハナがワイバーンに向かって突っ込んでいく。


「はぁ!」


 剣による攻撃はワイバーンには若干不利だと思われる。

ワイバーンは皮膚が凄く硬いの剣が通りにくいのである。

それでも、弱点というのは存在するので、そこを上手くついて行くことが必要だろう。


『水の精霊に願い奉る!』

 

 ヴィムはすかさず、氷魔法を展開する。

そのまま、氷の槍をワイバーンに打ち込んだ。


 その隙をついてミサとハナが一気に攻撃を仕掛ける。


「ヴィムさん、お願いします!」


 ミサがそう叫ぶ。


「任せとけ」


 ヴィムは一瞬口角を上げる。


『光の精霊に願い奉る!』


 そう言うと、無数の光の矢がヴィムの頭上に展開される。

その展開された光の矢が一気にワイバーンへと打ち込まれる。


『グォォォーー!』


 咆哮を上げながら、ワイバーンはその場に倒れ込んだ。

全身には光の矢が突き刺さっている。


「これで、最後だ」


 ヴィムのその声で最後の一本の矢がワイバーンの体に差し込まれた。

すると、ワイバーンは絶命したようで、再び起き上がることは無かった。


「終わったな」

「本当に、最深部のボスまで倒しちゃったんですね」


 ハナは倒れているワイバーンを見て呟いた。


「そうだな」

「ヴィムさん、ワイバーンの素材どうします? 持って帰りますか?」


 ミサが言った。

確かに、ワイバーンの素材は貴重品で高額で取引される。                                                               


「とりあえず、核だけは持って帰るか」

「了解です」


 魔獣の核はその魔獣を討伐したという証拠にもなるし、高額で買い取ってくれる。


 ミサは器用にワイバーンの核を取り出していた。

さすがは元近衛騎士で鍛えていただけの事はある。

このくらいの作業はお手の物ということだろう。


「ヴィムさん、終わりました」

「ありがとう」


 数分でミサはワイバーンの核を取り出していた。


「さて、脱出しますか」

「了解です」

「分かりました」


 ワイバーンを隅に寄せてヴィムたちは最深部を後にした。

迷宮最深部の守護者を倒してしまったが、ここにマナがあり続ける限り、時間が経過すればまた守護者が出現する。

迷宮とはそういう仕組みになっているのである。


 ヴィムたちは、来た道を引き返す。

時より現れる魔獣はヴィムの魔法によって焼き払って行く。


 そして、1時間かからないくらいで迷宮の出口に到着した。


「二人ともお疲れさま」

「「お疲れ様です」」


 迷宮を出ると、明るい太陽の光が差し込んでくる。


「じゃあ、そのまま支部長の所に報告に行きますか」


 今日の目的は迷宮の攻略ではなく、あくまでも迷宮調査なのである。

迷宮攻略はある意味おまけみたいなもんだ。


「そうですね」


 こうして、ヴィムたちはハイムの街に戻るのであった。



【あとがき】


久しぶりの更新となり、申し訳ございません。


ここでお知らせがあります。

本作は12月28日日BKブックス様より発売予定となります!


イラストレーターはメノウ様です!

各店舗特典も書かせて頂きました。


詳細は近況ノートとTwitterの方で告知致します。


引き続きよろしくお願い致します。

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