第25話 「ごめんね」
誰でも喋れる言葉なんて本当は全然ないよ。君はそれくらいほかの人も私に言えると思ってるんでしょ。天然とか言われると「ありがとう」って言うけど嬉しくないよ。
なのに嬉しいフリできて、あんま気づかれてない感あるから嫌だよ。そういうときだけ鈍感になるのやめませんか。都合のいい時だけ耳が遠くなるよね。すぐ気づく私も気にしすぎって気はするけど。朝、ネクタイが外れかかってて落っことしそうになった。気づかずに通り過ぎるとこだった。ネクタイなかったらグレたとか思われるだけじゃなく職員室か生徒指導室かでネクタイ借りる羽目になる。3年の先輩みたいな結ぶリボンの制服がよかった。可愛い。なんでこんな地味なんだ。イケメンにしか似合わないじゃないか。けしからん。防水はいいんだけどリボンも模様ないし。皆女子と言えばリボンだと思っているらしく「えーリボンじゃないん」と言ってきた男に、三千円でお前リボンだけ買うかときくと目をそらして何も言わなかったから木曜日のおはようは無事言わずに終了した。渡すものは渡しといたのでよし。勝ったな。ローファー履いてたし最高に決まってた。あれ靴音が煩いからいまはもう履いてないよ。
何で駅で会ったんだろう。偶然にしてはできすぎている。おかしい。今人生で最高にあせっている。自分でもおもしろいくらいに。なんか、その言いづらいんですが百合の方角に間違って歩いてきてしまったかのような不思議な感覚がまだ残っているんですよ。いやぁ少女漫画読みすぎてちょっと飽きてきたからもうガールズラブくらいしか極めてないやつないわってなったのはあるんですが。思ったより百合が面白かったからやばい。読むのはやめられないけど心の向きまで変えられたら流石に笑えないやつだなと。リボンって私だけど。私がリボンだからリボンは必要ないの。少女漫画のリボンはいるけど。誰にでも同じくらい似合う制服がないようにあなたに似合う私になれてる自信なんてないの。私の方が好きだから。あなたのすきは見えないの。余裕そうに笑ってるようにしか見えないの。その爽やかな笑顔が胡散臭い。何を笑顔の裏で企んでるのかしら。私にも一枚噛ませてよ。私の知らないあなたを見た人が皆恨めしいわ。私だけに見せて欲しい照れるところは。私もあなただけに見せてあげるよ。彼氏がいる女子は皆可愛い。可愛いところはきっと目に焼き付いてしまうからあなただって忘れられないわ。きっと私に惚れたのはあなたが先よ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます