第9話 マニュアル本

【マニュアル本】

もてない私は彼女いない歴30年のぱっとしない男

彼女が欲しいと思い、ふと立ち寄った本屋で

「恋愛マニュアル本 男性編」なる本を買った

髪型

衣服

振る舞い

口説き文句

ありとあらゆるモテる為のテクニック


ある日、町を歩いていたらふいに声をかけられた

「あの~すみません」

可愛い女の子だった

「何か?」

彼女は地図を広げ目的地までの道順を聞いてきた

確か恋愛マニュアルにあったっけ?


①女の子に道を聞かれた時の対処法


私は恋愛マニュアル通り優しく丁寧に道を教えた


ふいに彼女が

「教えて貰ったお礼によかったらそこでお食事一緒に取りません?」

私は即答するのを避け


②女の子に食事を誘われた時の対処法


彼女と食事を済ませマニュアル本で培った会話術で和気あいあい

「またお会いできたら良いですね」

こう言うと彼女は

「これ私の連絡先です・・・また会えるよね?」

私はドキドキしながら


③女の子に連絡先を貰った時の対処法


がつがつせずさりげなく自分の連絡先も教えた


こうして彼女がいなかった私に生まれて初めて恋人が出来た

男としてエッチな事などもしたいが

ここは恋愛マニュアル通り焦らずじっくりと

デートを重ね

女の子が喜ぶ言葉や

女の子が喜ぶ振る舞い

女の子が喜ぶプレゼントなど


ある日彼女の自宅に招待された

期待に胸膨らませつつ


④女の子の部屋に招待された時の対処法


近くの公園で待ち合わせて彼女の部屋へ

早速私は恋愛マニュアルに書かれていた事を実践


「良い匂いがするね」

「可愛い部屋だね」

「ここ座って良い?」


色んな話に華を咲かせていた

彼女とのことは恋愛マニュアル通りに進んで行った

ふいに彼女がトイレに立った

恋愛マニュアルでは

部屋は物色してはいけないのですが

少しくらいとマニュアルに反し

私は辺りを見回してしまった


ん・・・ふと雑誌ラックに置かれた本のタイトルが目に入った


「恋愛マニュアル 女性編」

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