真似してくれてるんだ

こうやって、俺とリーネは、寝る時に一緒にベッドに横になったままいろいろと話をするのが日課になっていた。そうやって話すことで、お互いの考えてることとか感じてることとかを言葉にして、相手に伝えるんだ。


それをリーネも、真似してくれてるんだって感じる。


子供は経験も少なくて未熟なんだから、大人から学んでいくことでしか人間としての生き方なんて学べないよな。リーネとこうやって接してると、その実感がすごくある。


逆に、前世でも今世でも、俺の両親はそれを教えてくれなかった。ただただ自分より弱い相手を威圧して暴力で従えればいいとしか示してくれなかった。


だから俺も、自分より弱い相手を威圧して恫喝してそれで自分に従わせるのが当然だと思ってたんだ。


けれど、そうなのか? 親の言うことさえ聞いてれば、親に服従さえしてれば、それで上手くいくのか? ただひたすら自分より強い相手に服従することだけを学んできた奴が、自分で何かを考えて判断して決断して行動できるようになるか? どこでそんなことを学べる? 


上の人間からの指示を待って、何も考えずにそれに従うようになるだけなんじゃないのか?


それって、<使い物になる人間>か?


『自分で考えて何かを判断しろ』


って、教えてこなかったんだぞ? ただただとにかくこっちに服従して余計なことを考えるな感じるなって求めてきただけなんだぞ? それでなんで、自分で考えて判断して行動できる人間になるんだ? なんか、自分が教えてもいないことをどっかで勝手に学んできてくれてそれで有能な人間に育ってくれるってか?


いや、おかしいだろう? 漫画やアニメじゃあるまいし、そんなご都合主義な展開になるか? 実際、なってない例の方が多いんじゃないのか? いわゆる、<ゆとり世代>の前の奴らはどうだった? 実際に会社で<優秀>か? 他人を出し抜こうとして指示されてないことを勝手にやって、厄介事を作ったりしてなかったか?


上手くハマれば大きな利益を生むこともあっても、それ以上に足を引っ張る奴らが多くなかったか?


かと思えば、強い者には媚びへつらい、長いものには巻かれて、仕事じゃなくその手の<処世術>で上に気に入られて出世する奴とか、多くなかったか?


そうだ。強い相手には従順になって<いい子>を演じる奴らだ。


そんな奴らが上に行って何をした? <ブラック企業>を作ったんじゃないのか? 従業員にはただただ服従することを求めて、何も考えず感じず会社の言いなりになってってのを求めたんじゃないのか?


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