第241話 今日は一日いい天気らしい①
あたしとミミちゃんは室内での活動がメインだけど、外で体を動かすのもけっこう好きだ。
天気予報によると今日は一日晴れるらしく、せっかくだから公園で体を動かそうという話になった。
そんなわけで、あたしとミミちゃんは動きやすい服に着替え、外出の準備を進めている。
「ミミちゃん、日焼け止め塗ってあげるよ~」
「あっ、もう塗っちゃいました」
意気揚々と日焼け止めを片手に自室からリビングへ早足で移動してきたあたしは、ミミちゃんの返答を聞いてその場にガクッと崩れ落ちた。
「そ、そんな……おっぱいとお尻に、念入りに塗り込むはずだったのに……本当に、もう塗っちゃったの?」
「胸とお尻には塗ってませんけど」
「じゃあ塗る! ミミちゃん、脱いで!」
あたしはカッと目を見開き、跳躍に近い勢いで立ち上がる。
「ぬ、脱ぎませんし、そこには塗らなくてもいいですっ」
「でも、もしかしたら外でおっぱいとお尻を出したくなるかもしれないじゃん! そうなった時のために塗っておくべきだよ!」
「そうなった時はむしろ止めてくださいっ」
「た、確かに、それはそうだね」
冷静に考えてみると、ミミちゃんが外でおっぱいやお尻を出すなんて絶対にダメだ。
ルールとかマナー以前に、あたし以外の人に見られるのは是が非でも阻止しないと。
「ごめん。ミミちゃんに日焼け止めを塗りたい気持ちが強すぎて、ちょっと暴走しちゃった」
「慣れてますから、あんまり気にしないでください」
ミミちゃんの対応に付き合いの長さと深さを感じて嬉しくなると同時に、ちょっと申し訳なくなった。
あたしも立派な大人なんだから、もう少し落ち着きってものを身に付けないとね。
「ユニコちゃんはもう塗ったんですか?」
「まだだよ~。ミミちゃんに塗ることだけ考えてたから」
「もしよかったら、塗りましょうか?」
「うんっ!」
大人の落ち着きなんて微塵も感じさせない元気いっぱいの返事と共に、首を大きく縦に振る。
持っていた日焼け止めをミミちゃんに渡した後、あたしは着ていた服をすべて脱ぎ捨てた。
「っ!? ゆ、ユニコちゃん!? なんで裸に!?」
「え? なんでって、日焼け止めを塗ってもらうためだけど」
一糸まとわぬ姿でミミちゃんと向き合い、どこかで聞いたような言い回しで素直に答えた。
そして手を後ろに回し、やや胸を張るような体勢で言葉を続ける。
「それじゃあミミちゃん、まずは上からよろしく」
「う、上って、腕……じゃ、ないんですか?」
「もちろん腕も後で塗ってほしいけど、やっぱりまずはおっぱいから触って――じゃなくて、塗ってほしいかな~って」
危うく本音を言ってしまうところだった。
九割ぐらい言っちゃった気がするけど、細かいことは気にしない。
「もう、仕方ないですね」
「ありがと~っ!」
ミミちゃんは適量の日焼け止めクリームを手に出し、スッとあたしの体へ手を伸ばす。
仕方ないと言いつつ少なからず乗り気に見えたのは、多分気のせいではないと思う。
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