第21話 始まり。《前編》

 来週もテストあったりと忙しい(時間を取ろうと思えば取れるかもしれないけどぼくに時間を有益に使う力はありませんごめんなさい)ので少し短めです。


 では、本編どうぞ〜!!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「楽しかった〜!」


 もう10時間弱動き回った人とは思えない元気な声を上げるのは、笑顔を弾けさせる天音である。


 あの後レストランでランチを食べたり、その後には今日だけということでパフェを買ったり。


 昼休憩が済んだあとはまた遊園地周りを再開。一日中動いたものだからさすがに足に来るけれど、楽しかった。


「あ、そうだ。観覧車乗らない? ここの遊園地、夜景が綺麗だってサイトで書いてあったんだ〜」


「じゃあ、もう暗くなってきたし……最後に乗るか」


「やったぁ!」


 なんて会話を交わし、観覧車へと向かう。もう暗くなってきたということもあり、列はそれほど長くない。これなら待ち時間短く済みそうだ。


 その後、20分近くでぼくたちの番。ゴンドラへと乗り込んだ。


「隣、座ってもいい……?」


 ゴンドラの扉がしまった直後、隣に座ると嫌がられるだろうかと考え、天音の向かい側に座ろうとするとそんな言葉を掛けられた。


「うん、いいよ」


 別に断る理由もない、そう考えて隣に座った。


「「…………。」」


 ち、近いな……。


 ゴンドラは大人4人がぎりぎり入る程度と、そこまでの大きさはない。そんな所で隣り合って座るものだから、肩が触れ合っている。


 何か恥ずかしい……。それも無言だからなおさら。


「……そ、そういえば、最近乗ることなかったなぁ。観覧車なんていつぶりなんだろう? なんだかドキドキする……っ」


 隣では、天音が景色を眺めながらそう呟いている。


「そ、そういえばそうだね」


「「…………。」」


 話を繋げられない……。多分気まずさを感じているのは、天音も同じだろう。


「ロマンチックな景色、だね……っ!」


「だよね、綺麗だなぁ……」


「こんなロマンチックな景色なのに、そのふたりきりで来ている相手がわたしなんかでごめんね?」


 天音は、景色に向けていた視線をこちらへ戻すと、そんなことを言い始める。


「ふふっ、別にいいよ。というか……天音と来れて良かったって思ってるから」


 ニッと笑いかけてあげる。


 天音と来れて嫌なわけない。出会ったばかりの頃は口も聞いてくれなかったけど、こうして一緒に観覧車に乗って夜景を見に来れて……。本当に嬉しいし、今日一日楽しかった。


「そ、そうなんだ……っ!」


 嬉しそうな表情を見せている。


「……ねぇ、唯くん」


「ん、どうしたの?」


 夜景を眺めていると、服の袖を少し引っ張る天音。上目遣いで僕の名前を呼んだ。


 天音の透き通るように綺麗な金髪の髪は、周りの灯りに照らされて輝いている。


 何か、あったんだろ──




「──わたし、唯くんのことが好き」




 数秒の沈黙の末、天音から放たれた言葉は少し震えていた。


 頭の中で天音の言葉が反芻される。横を見てみれば、手を若干震わせ、顔は真っ赤に染まった天音の様子が視界に映った。


「……え」


 多分、この時から──。




 ──僕の波乱の高校生活は始まったのだ。

 

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