第158話
「──麻井先輩。ひとつ、聞いてもいいですか?」
珍しく、凛がいないバイト。
理由は、風邪をひいたから。
学校も休んでいて、一日がすごく静かだった。
私が出勤してきて先に来ていた美琴ちゃんが「神永先輩は?」と尋ねてきたからその理由を答えると、みるみるうちに沈んでいく表情。
……もうそろそろ気付くって。私そんな馬鹿じゃないし。
そんな美琴ちゃんから冒頭の呼びかけ。
「どうしたの?」
なんだか凛がいないだけで表情ばかりでなく、彼女の声色まで変わっているようで女って怖いな……なんて思った。
「……神永先輩の、どこが好きなんですか??」
「……え」
……出た、答えづらいやつ。
困っている私なんてお構いなしにさらに問い詰める。
「どこを好きになったんですか?」
真剣な彼女の問いかけに必死で答えを探すけど、美琴ちゃんが望むものがなんなのかわからなくて結局いつものように答えてしまう。
「えーと……いつも一生懸命で、私を守ってくれるところ……?」
ありきたりな答えに、美琴ちゃんの顔には「不満です」って書いてある。
「……そうですか」
でもそれを言葉には出さずただ私を睨む。
そして恐れていた言葉が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます