いらないレシートでゲームをやってみた
コンビニの店員からもらうレシートは、正直何の役にも立たないと思う。
この日買ったのは、ペットボトル500mlのオレンジジュース1本、4束あるトイレットペーパー2セット、キャラメル1箱を買い、合計は638円。すべて持参のトートバッグに収めた。
店員からマニュアル通りとばかりにレシートをもらったとき、これが何の役に立つのかと一瞬考えた。
「そのレシートがいらないなら、丸めてこちらに捨てられますけど」
店員が僕の目の前から横にずれ、その背後に手を指し示す。そこには虹色に彩られたボードがあり、真ん中に小さな穴があった。
「レシートを丸めて真ん中に入れられれば、1万円プレゼントします」
その瞬間、僕の心は色めいた。
「やります!」
人目もはばからずに参加宣言を叫んだ。
「それじゃあ、早速どうぞ」
店員に促されるや否や、僕はレシートを丸めた。小さな穴に確実に入るように、これでもかと面積を縮めまくるように、レシートを小さな塊に変えていった。
「よし、これでどうだ」
僕は満を持してレシートを投げる。しかし穴から大きく上に外れたレシートは、ボードに当たるとあっけなく床に落ちた。
「残念、外れてしまいましたね」
「外れたから、賞品なしですよね」
僕は軽く落ち込みながら店員に問うた。
「それだけではありません。外れたら参加費として8000円いただきます」
僕の目の前が真っ白になる。高校1年の僕には、そんなお金などなかった。
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