第77話 王城へ報告へ行こう
次の日出掛ける準備をしたら、王城へ行ってみよう。ユリウス様達に会えると良いのだけど、どうだろうなぁ。ヴァイスを肩に乗せて王城へ向けて歩いて行く。
王城へ着いて門を守っている騎士様に要件を伝えると、少し待つように言われた。ヴァイスと一緒に少し待っていると、テオドール様が来てくれた。
「ヴァイス様! カノン様!」
「テオドール様、ありがとうございます」
「もう終わったのですか?」
「はい。15階までしかなかったので、昨日の夕方には戻ってこられました」
「そ、そうなのですね」
テオドール様に案内されて、ユリウス様の所へ着いた。部屋に入り、人払いが済んだ所でヴァイスが結界を張った。
「ヴァイス様、カノン様。この度は本当にありがとうございました」
『かまわん』
「いえ、楽しかったですからお気になさらず」
「楽しい、ですか」
ダンジョンって楽しいと思うんだけど、それはヴァイスがいるからだもんね。おかしいと思われても仕方ないかな。
「ヴァイス様。ダンジョンの情報を聞いても宜しいですか?」
『ああ、かまわんぞ。ダンジョンは15階層だが、上級ダンジョンだな』
「「えっ!?」」
ヴァイスがダンジョンの魔物について話すと、お2人はとても慌てている。確かに上級ダンジョンと聞いたら困るよね。
階層ごとに説明していると段々と顔色が悪くなっていった。どの階層でも大体集団で襲われるし、最後にはドラゴンも大量だったしね。
「ヴァイス様、カノン様。本当にありがとうございました。お蔭で溢れる事はなさそうです。しかし、上級ダンジョンでは困りましたね、ユリウス様」
「そうだな。もしかしたら定期的にお2人に駆除をお願いするかもしれませんが、宜しいでしょうか?」
『かまわんぞ』
「はい、分かりました」
王都の安全を考えたら、定期的に駆除は必要だろう。それにお酒も魔石も沢山手に入るから、私的にはとてもおいしい。ちょっとヴァイスにジト目で見られたけれど、ヴァイスもお酒で喜んだでしょ!
「カノン様、ヴァイス様。褒賞は何が良いでしょうか?」
「えっ、褒賞ですか?」
「ええ。今回は国からの依頼ですので、褒賞があります」
「ヴァイス、どうしようか?」
『カノン。ならばあれしかないだろう!』
「えっ、どれ? いたっ」
なぜかしっぽ攻撃まで。あれじゃ分からないよ?
『種があったであろう』
「あっ、そうだった! えっと、ボスのドロップでこんな種が出たんです。これを植える場所が欲しいのですが、それでも大丈夫ですか?」
「これは、何の種ですか?」
種の説明をすると、お2人もとても驚いている。私もどんな風に何が育つのか分からないから何とも言えないけれど、お酒に関係するものが育つのは良く分かる。
「では国王陛下にも伝えて準備をしますね。準備が出来たらまた知らせに行きますね」
「はい、ありがとうございます」
『うむ』
ヴァイスはご機嫌にしっぽを揺らしている。畑が貰えたら早速育てちゃうんだ~、とっても楽しみ!
「それと、お酒のドロップ品を見せて頂いても良いですか?」
「はい、とりあえず色々出してみますね」
ユリウス様もテオドール様もお酒に興味があるみたいで、とても楽しそうな顔になった。ビールにワインに日本酒、ウィスキーなどもある程度種類を出してみた。
「こんなにも色々な種類が出るのですか!?」
「そうなんですよ。同じ魔物を倒しても、違うのが出たんですよ。不思議ですよね~」
「そうなんですね。それは興味深いですね」
ユリウス様とテオドール様にどんなお酒かを説明すると、お2人とも興味津々だ。
お酒を買い取りをさせて欲しいというので、半分くらい買い取って貰った。それでもまだまだ大量に残っている。ヴァイスがちょっとソワソワと心配していたけれど、まだまだ大量にあるから大丈夫なんだよ?
褒賞があるとは思わなかったけれど、種を植える為の土地を本当に貰えたらとっても嬉しいね。どれくらい掛かるか分からないから、のんびり待っていよう。
王城から出たら、街をのんびり見て回りながらお店に帰ろう。今日の夜はお酒に合わせてご飯を作ろう。やっぱりまずはビールに唐揚げだよね! でも、ビールはちょっと苦手なんだけど、飲めるかなぁ。
『カノン。旨い物か!』
「わっ、なんでバレたの!?」
『そんな顔してたぞ』
「えっ、どんな顔なの!?」
『それで、今日作るのか?』
ヴァイスがわくわくした顔で聞いてきた。
「ふふっ。今日の夜はお酒に合わせたお料理にするよ。一緒に食べようね!」
『うむ。楽しみだな!』
色々な種類を飲んだら悪酔いしそうだから、今日はビールと白ワインかな。カルパッチョ、ガーリックシュリンプ、唐揚げ、パエリアにしようかな。いつもは作らない物も作っておけば、省略出来る事が増えて行くもんね。
美味しい物をいつでもお手軽に食べられるように、最初の1回目が大変でも作るのです!
それでも、錬金術のお陰で大分楽には作れるんだよね。今日はパスタでも良いけれど、パエリアが食べたい。それにパスタだとショートパスタにしないと、ヴァイスのお口の周りが大変な事になるんだよね。
『なんだ?』
「ううん。美味しい物色々考えてただけだよ~」
ヴァイスのしっぽがご機嫌に揺れている。強いお酒でも飲めるヴァイスを見ていると、ふと疑問に思った事がある。
「ヴァイス。この世界にはドワーフっているの?」
『ああ、いるぞ。それがどうした?』
「ドワーフってお酒が好きなの?」
『ああ。強い酒が好きだぞ。ダンジョンで出た凄く強い酒は喜びそうだな』
「そうなんだ!」
『そのうち会えるだろう』
「ふふっ。それは楽しみだね」
この世界には色々な種族の人達がいるみたいだ。ドワーフ族もエルフ族も獣人もいるのだって。
お話の中みたいに、ドワーフ族は鍛冶が上手みたいだ。この王都にも色々な種族の人がいるから、王都にもいるのかもしれないね。
お家に帰って早速お料理の準備をしよう。
カルパッチョは鯛にしよう。エビもにんにくたっぷりのタレに漬けておこう。パエリアは魚介とベーコンにして美味しく食べちゃおう。
後は唐揚げも鶏肉と豚肉で作っちゃおう。今日は沢山作って食べちゃうぞー!
お夕飯には少し早いけれど、飲み始めちゃう。まずはビールと唐揚げっ!
『旨いっ!!!』
「う~、やっぱりにがーいっ! 白ワイン開けちゃおう!」
『カノンはまだお子様だからな』
「む~。だってビールの美味しさはまだよく分からないんだよ」
『だからお子様なのだろう』
思わずほっぺたを膨らませたけれど、だから子供だと言われるのか。
やっぱりビールはあんまり好きじゃないから、早々に白ワインに変えちゃおう。ヴァイスはビールが気に入ったみたいだ。
『料理に合って旨いな! カノン、お代わりだっ!』
「飲み過ぎないようにね~」
『まだまだ余裕だから大丈夫だ』
「ヴァイスは強いんだねぇ」
『さすがにドワーフには負けるかもしれんがな』
「そんなになのっ!? ドワーフ族って凄いんだね。そういえば、オリハルコンとかの使い道を聞いてみたいなぁ」
『ふむ。今度行ってみるか?』
「うんっ!」
その後はヴァイスも白ワインを飲んで他のお料理も沢山食べている。このドロップ品の白ワイン、とっても飲みやすくて、お料理にも合っていて美味しい。
「これだけ美味しいお酒だと、他のお酒も期待しちゃうね」
『そうだな。当分楽しみだな!』
「うんっ!」
遅くまでヴァイスと一緒にお酒を飲んじゃった。夜にベッドに行くと、ヴァイスはお腹が大分ぽっこりしていた。なでなでして落ち着いてからむぎゅっと抱きしめて寝た。
酔っぱらってふわふわしていたのもあって、とっても気持ち良く眠れた。
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