第69話 錬金術師ギルドへ行こう
今日もお店と屋台を開いている。今日はレオナとフリッツの番みたいだ。みんな働き者なので、お客様達からとても可愛がられていて私も嬉しい。
お昼ごはんは丼物を作ろうかな。みんなには沢山食べて元気いっぱい育って欲しい。親子丼と具沢山のお味噌汁を作ろう。
お昼の準備が出来たら、屋台を交代して2人とヴァイスにはご飯を食べてきてもらう。今日は2人を送って帰る時に、久しぶりに錬金術師ギルドへ行って来ようかな。腐った鉱石の使い道をまだ伝えていなかったのだよね。
「カノンおねぇちゃん。今日のご飯も美味しかった、ありがとう」
「すごく旨かった。ありがとう」
「足りたかな?」
「うん、もちろん」
「うん、大丈夫。スープも具が沢山で旨かった」
その後はまた屋台のお店番を2人と交代して私はお店を開店させて中に入る。今日もお店番をしながら商品を並べたり在庫を作ったりして過ごす。
そろそろ新しい物が作りたいけれど、何か良い物ないかな。
屋台とお店を閉めて2人を送ってきたら、錬金術師ギルドへ向かおう。ドアを開けると受付のマリーさんが見えた。
「こんにちは」
「あっ、カノンさん。かき氷美味しいですね!」
「食べてくださったんですね、ありがとうございます!」
マリーさんはベリー味が好みだそうだ。練乳を作っても良いかもしれないね。
「マリーさん。岩喰魚(イワナ)から出てくる腐った鉱石が錬金術で鉱石に出来るのですが、もう知られてますか?」
「えっ!? それは知らないと思いますっ! もしかして、その方法を教えて頂けるのですか?」
「はい」
「わわっ、ありがとうございます。少しお待ち頂いて良いですか?」
マリーさんは慌ててどこかへ行ってしまった。すこし待っていると戻ってきたマリーさんにギルマスの部屋へ通された。
「そちらへどうぞ。私は錬金術師ギルドのギルマスをやっているアルノーと言います。よろしくお願いしますね」
「私はカノンで、こっちはヴァイスです。よろしくお願いします」
ギルマスのアルノーさんは、キリっとした頭の良さそうな出来る人って感じだ。
「それで腐った鉱石の使い道が分かったと聞きましたが、どうするのですか?」
「腐った鉱石とマンドラゴンを錬金すると何かの鉱石になります。大体は鉄ですが、ミスリル、オリハルコンにもなります」
「……っそれは凄いですね! カノンさん、腐った鉱石はお持ちではありませんか?」
「ありますよ」
まだ残っていた腐った鉱石をいくつかテーブルに取り出した。
「む。だがマンドラゴンがそんなにはないかもしれませんね」
「それもありますが、要りますか?」
「それはぜひっ!」
アルノーさんも錬金術大好きな人なんだね。アイテムボックスからアルちゃんの浸かっていたお湯を取り出して渡した。
「カノンさん。このお水は何ですか?」
「それはマンドラゴンのエキスが入っているお水です。それで錬金出来ますよ」
「なぜお水に入っているのか聞いても?」
マンドラゴンの育て方と浸かっていたお湯を使えば錬金素材に出来る事も伝えた。アルノーさんの目がきらっきらになっていてちょっと可愛らしいです。
「なるほど。マンドラゴンはそうやって育てたり採取するのですね」
「えぇ。でもちょっとあまりにも可愛かったので、採取は出来ませんでしたね」
「可愛い、ですか!?」
「うちのマンドラゴン、可愛いんですよ」
「カノンさん。ぜひ今度見せて頂いても構いませんか?」
「えぇ、どうぞ」
気になりますよね。私もマンドラゴンを可愛いと思うとは思いませんでしたから。だけど、うちのアルちゃんはとってもとっても可愛いのです! 自慢できるならしちゃいますよ!
アルノーさんはそのまま錬金部屋へ向かってしまった。マリーさんと顔を見合わせて笑ってしまった。
「カノンさん、すみません。ギルマスは錬金術が好きすぎてギルマスになったので、少しお待ちいただけますか?」
「ふふっ。私も錬金術大好きなので大丈夫ですよ」
マリーさんとお話をしながら待っていると、ギルマスが凄く興奮して帰ってきた。
「カノンさんっ、素晴らしいですっ!! 私にも出来ましたよ!」
「それは良かったです。これで腐った鉱石も買い取りが出来るようになって冒険者さん達も助かりそうですね!」
これから冒険者ギルドで買い取りをして貰えるようになるみたいだ。ギルド間のやり取りで決めてくれるらしい。
しかも鉱石が作れるようになれば、職人さん達も助かるだろう。そういえば隕鉄って何に使えるか聞いてみようかな。
「ギルマス。隕鉄って何かに仕えますか?」
「隕鉄、ですか。確か武器などに使えるはずなので、商業ギルドか冒険者ギルドで買い取りして貰えると思いますよ」
「ありがとうございます」
錬金術師ギルドを出てもう暗くなってきていたけれど、商業ギルドにも寄って行こう。隕鉄もだし、鉱石が沢山あるから、少し買い取って貰おうかな。
商業ギルドに入るとリーゼさんがいた。
「リーゼさん、こんばんは」
「あっ、カノンさん。どうしましたか?」
「隕鉄とか鉄の買い取りをお願いしてくて来たんですけど、大丈夫ですか?」
「隕鉄ですか。それは鍛冶ギルドが喜びそうですね、ありがとうございます」
「私では使えないので、お役に立てたら嬉しいです」
鉄、隕鉄、オリハルコン、ミスリルも少し買い取りをして貰った。ミスリルの武器も人気があるからね。
「そうだ。後、宝石類があるんですけど、買い取りってして貰えますか?」
「宝石もあるんですか! それは嬉しいです!」
今までに溜まっていた宝石を色々と出していくと、リーゼさんの目が輝いていった。
「カノンさんっ。こんなに良いんですか!?」
「えぇ。ダンジョンへ行ったときのドロップ品が溜まっちゃってたんですよね」
「みんな喜びます!」
色々と買い取って貰えたので、一気にお金持ちになった感じだ。商業ギルドを出たらもう真っ暗だ。街灯はあるけれど、日本みたいに明るくはない。ヴァイスがいるから安心だけど、早くお店に帰ろう。
『カノン。腹が減ったぞ!』
「そうだね。お夕飯は何を食べようか?」
『海鮮丼が良いぞ!』
「あっ、海鮮丼は良いねぇ」
お店に帰ったら海鮮丼を作ろう。今日も色々な海の幸を入れた贅沢海鮮丼にしちゃおう! 酢飯にした海鮮丼が好きなんだよね。
「ん~、やっぱり美味しいね!」
『うむ。このさっぱりとした感じが好きなのだ!』
「うんっ。しかも暑いから尚更美味しく感じるね」
『そうだな』
ご飯を食べてお片付けをした後は、ヴァイスと一緒に錬金部屋に向かおう。錬金部屋に入ると、うれしそうにパタパタと手を振るアルちゃんがいた。
「きゅ!」
「アルちゃん、こんばんは。お湯熱くする?」
「きゅーきゅっ!」
「ふふっ。今日はぬるめのお湯に浸かるのが気持ちいいんだね」
「きゅっ!」
今日は熱くしなくて良いみたいだ。暑い時はぬるめのお湯にゆっくり浸かるのも気持ちが良いよね。
『今日は何を作るのだ?』
「今日は練乳を作ろうと思ったんだよね」
『れんにゅー?』
思わずもふもふしたけど、不可抗力ですよ。こてんと首をかしげるのが可愛すぎた。なでなでもふもふしながら、練乳を説明する。練乳は意外と簡単に作れるんだよね。必要な材料はお砂糖と牛乳だけなんだよね。
焦がさないように煮詰めるのも錬金術を使ったらすぐに出来ちゃうもんね。
ボウルに牛乳とお砂糖を入れたら錬金釜に入れて蓋を閉めて魔力を流す。
チーン!
蓋を開けてみると、トロリとした練乳が出来ている。うん、美味しそう!
アイテムボックスからかき氷機を取り出して、氷とお皿を準備したらかき氷を作ろう。私はやっぱりベリーミルクかな。ヴァイスにもそれにしてみよう。
『カノン!』
「ふふっ、分かってるよ。ちょっと待っててね」
ベリーミルクを2つ作ったら一緒に食べよう。うん、やっぱり練乳のこってりした味が入ると更に美味しくなるね。
『カノン、これは旨いぞ!』
「明日からはこれも屋台に追加しようと思うんだよね」
『それは良いな!』
ヴァイスのしっぽが嬉しそうにゆらゆらと揺れている。
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