第39話 マンドラゴンを植えよう
次の日、朝ごはんを食べている時に師匠にマンドラゴンの話を聞いてみた。
「ふむ。マンドラゴンで魔法の威力をあげるアクセサリーねぇ。それは面白そうだね。ただ、マンドラゴンは間違えて引っこ抜かないようにしなきゃいけないよ!」
「はい! お湯を使っての水耕栽培にしてみようと思っているので、間違えて抜いても問題はないかと思うんですよね」
師匠に水耕栽培の説明もして許可を貰ったので、今日は早速栽培用のプランターを作って種を蒔こう。
まずはガラスを錬金釜に入れて、ガラスで水耕栽培用のポットを作ろう。蓋を閉めて魔力を流してガラスポットを作る。
ガラスポットの内側に青の魔石(中)、赤の魔石(中)、白の魔石(中)を、外側には温度を保つ為に緑の魔石(中)を貼り付けよう。
数が多いからちょっと大変だけど、きちんと魔力で固定出来た。これを錬金釜に入れて蓋をして魔力を流す。魔石が多い分ちょっと時間が掛かるけれど、なんとか無事に出来たみたいだ。
チーン!
蓋を開けて鑑定してみると、水耕栽培用ポットと書かれていた。
「よし、出来たね」
『さすがだな』
「次は液体肥料(上級)を作ってみよう!」
錬金釜に黄の魔石(中)、刻んだ癒し草、卵、ドラゴンの牙、爪を入れて蓋を閉めて魔力を流す。
チーン!
蓋を開けて鑑定してみると、液体肥料(上級)と書かれていた。
「おぉ、上級が出来た」
いくつか作って置こうかな。今の錬金術レベルが12だったから、2つ工程を省略できるね。刻むのと魔石をなくそうかな。
錬金釜に卵、ドラゴンの牙と爪を入れて蓋を閉じて魔力を流す。
チーン!
蓋を開けて鑑定してみると、きちんと液体肥料(上級)が出来ている。うん、省略スキルさんが優秀で素敵すぎるっ!
「さて、準備が出来たからマンドラゴンの種を蒔こうかな」
思わずちょっと離れるヴァイス。まだ種だよ?
「ふふっ、ヴァイスったらまだ種だよ?」
『そ、そうだったな』
本当だったらスポンジとかに種を蒔くんだけど、このまま植えても良い気がするんだよね。だって、錬金プランターは1日で育っちゃったし、何でも育ったしね。
水耕栽培用プランターにお水と液体肥料を入れてポットの外にある魔石でスイッチを入れると、あっという間に温かいお風呂くらいのお湯に変わった。
鑑定してみると、液体肥料入りのお湯と出ていた。これに種を入れてまた明日様子を見よう。
とりあえず、マンドラゴンの種を植えられたので、今度はフードプロセッサーを作ろう。今日はボウルとガラスの蓋で作る予定なのです。
錬金釜にボウルとガラスを入れて蓋を閉めたら魔力を流す。チーン! といつものレンジの音がして蓋を開けると、蓋つきのボウルが出来ている。
蓋つきのボウルを取り出して、内側に緑の魔石(大)、黒の魔石(中)、外側に白の魔石(中)を貼り付ける。貼り付けが終わったら、錬金釜に入れて魔力を流す。
チーン!
1時間くらい魔力を流して完成した。錬金釜の蓋を開けて鑑定してみると、フードプロセッサーと書いてある。
「おぉ、ちゃんと出来たみたい!」
『今日はハンバーグか!?』
「ふふっ、そうだね。そうしようか~」
キッチンへ移動して、ハンバーグの材料を全部ボウルに入れてみる。今日はお肉と玉ねぎはざく切りにして入れてみた。
蓋をしてボウルの横にある魔石に手を置いて動かしてみると、ぐるぐるっとボウルの中が回ってどんどん細かくなっていくのが見える。これはちょっと楽しい。
『どんどん細かくなっていくのが面白いな』
「うん、なんだか見ていて楽しいね」
意外とお肉が大きめでもきちんと細かくしてくれたので、パワーも問題なさそうだ。このパワーだったら、お肉をぶつ切りにしなくても細かくしてくれそうだね。後で試してみよう。
今日は和風餡かけハンバーグにしようかな。蓋を開けたら錬金棒を入れて混ぜてみると、ぽぽんっ! とハンバーグが焼けていった。
『何やってるんだっ!?』
「えへっ、錬金スキルでハンバーグ焼いてみたよ~」
錬金棒で混ぜる度にボウルの外にお皿に乗ったハンバーグが出来上がっていくのは、なんだか楽しすぎる。錬金術(省略)スキルさん、ありがとうございます!
『……カノン、今日はこの前と何か違うのか?』
「うん、今日はお野菜の入ったトロっとした餡かけを掛けたさっぱりとしたハンバーグだよ~」
『なんだか旨そうだな!』
「ハンバーグは色々な味付けに出来るから楽しいよね」
『早く食べたいぞ!』
「ささっとお味噌汁も作っちゃうから、ちょっと待ってね」
具材を切ったら、お水に具材をぽいぽいっと放り込んで、錬金お玉で混ぜ混ぜ~。
ぽんっ!
「よし、お味噌汁のでっきあっがり~」
『はぁっ!?』
「カノン、煮込んだのかい?」
「煮込んでお味噌で味付けするのを省略してみましたよ~」
2人とも何か言いたげだったけれど、ハンバーグの魅力には勝てなかったみたいだ。だって、出来るんだから良いんだよ!
「お料理が早く楽に作れるようになったね!」
「そういうのはカノンくらいさね」
『カタリーナの言う通りだな』
美味しく楽しく暮らせたら、それで良いと思うんだよ? 省略スキルに慣れて来て、かなり楽しいのです。
どこをどう省略出来るかを考えるのが、とっても楽しいのです!
「師匠。フードプロセッサーが出来たので、お渡しする用を作ったら明日持って行ってきますね」
「ああ、頼んだよ」
お片付けをした後は、宿屋さんにお渡しする用のフードプロセッサーを作っちゃおう。
まずはボウルとガラスを錬金釜に入れる。
ぽふん!
蓋を閉める前にフードプロセッサーの形が出来た。この工程も省略出来るのをちょっと忘れててびっくりした。
『またか』
「うん、意識してないとちょっとびっくりするね」
『ああ』
今のを考えると、魔力を込める工程を省略できるんだよね。だったら、緑の魔石(大)を貼り付ける工程と、魔力を込める工程を省略しちゃおうかな!
白の魔石(中)と黒の魔石(中)を貼り付けて錬金釜に入れたら、緑の魔石(大)をそのまま入れてみる。
ぽふん!
「よし、で~きたっ!」
『カノン、何を省略したんだ?』
「緑の魔石(大)を貼り付ける工程と、魔力を流す工程を省略してみたよ!」
『そ、そうか』
ついでにお肉が大きいまま細かく出来るのか試す為に、キッチンに移動して自分用のフードプロセッサーを出して豚肉の塊肉を入れて蓋をする。
ボウルの横の魔石に手を置いて魔力を込めると、ボウルの中がぐるぐる回り始めた。見ていると、どんどん細かくなっていく。
「おぉ、凄い! 塊のお肉でも余裕で細かく出来るんだね!」
『そうみたいだな。それで、これは何のおかずになるんだ?』
「ふふっ、豚肉だから肉団子にするつもりだよ~。肉団子も味付けが色々出来るから沢山作っておくと便利だと思って!」
玉ねぎも入れて細かくすると、錬金棒でぐるぐる混ぜていくと、ぽんぽんと肉団子がお皿に積みあがっていく。
『カノン、味見だ!』
「ヴァイス。まだ味が付いてないんだよ?」
そう言うと、ヴァイスはショックを受けた顔になった。もうお夕飯を食べた後なので、お醤油をちょっとたらしてヴァイスのお口に入れてあげる。
『うむ。旨いな!』
「ふふっ、これにちゃんと味付けをするともっと美味しくなるんだよ~。明日、食べようね!」
『楽しみにしているぞ!』
そういうと、ヴァイスと一緒にのんびりお風呂に入ってから休む事にした。相変わらずヴァイスのもふもふが気持ちが良い。すりすりむぎゅむぎゅして寝るのが大好きなのです!
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