第百十五話

「ぐす…クロスケ…」


『はぁ…いつまで泣いてるんですか、街にはまだキメラが居るんですよ?』


「はっ…!そうだった…!行かなきゃ」


俺はクロスケ達と別れた後街へと向かった


「そういやレベルって上がったのかな」


『邪神に操られた魔物を倒したので上がってるはずですよ』


「よし、ステータス」


名前 リュート・レギオス


レベル:3


職業 A級冒険者


称号 勇者・転生者・強欲の化身・元魔王


適性 光・闇


スキル:肩代わり・無限の可能性


体力 超超凄い


魔力 超超超凄い


力 超超凄い


防御力 超超凄い


速さ 超超凄い速い


女神の祝福一覧


魔力感知・補助精霊・魔法詠唱短縮・適性+スキル強化


おおー…超超うるさいなぁ…ゲシュタルト崩壊起こしそう


『文句はエルシュラ様へお願いします』


ステータスの文ってエルシュラ様が書いてたのかよ…それより新しい祝福は…適性とスキルの強化?


「何か変わってるか?」


ステータスを見た感じ変わってなさそうだけど


『まぁ使ってみてからのお楽しみですね』


「なるほど…よしもうすぐミラノワだな」


「おお!勇者様!」


「どうも〜」


街の現状を把握したいし城壁登るか


「よっと…」


「す、凄い…壁を走っている…」


『人間離れしてますね』


「勇者だから出来るのさ」


城壁の上に降り立つ


「ボロボロだな…」


みんなは無事か?


『今のところ犠牲者はいませんね』


「よし…ならキメラを倒そう…!」


キメラはっと…え…増えてない?


『どうやら分裂したようです』


「マジかよ…なら複数を攻撃出来る魔法がいいな」


大地獄炎撃ったら大変な事になりそうだし…困ったな


『まだ剣の機能全部試して無いんじゃないですか?』


ああ…そう言えば…


「紙には…ええと…剣と剣を合わせて…使いたい武器種を思い浮かべる」


複数を相手するなら拡散矢が撃てる弓だ


「魔力を込めると…」


するとカチッと音と共に剣が変形していく、まるでロボットのようにカチカチと組み合わさり巨大な弓へと変形した


「かっ…カッコよすぎ?!シノン…!すげぇよ!」


ヤバいテンション上がる!


よし…これなら複数を相手できるな!


「さて、ん?」


あれ…そういや水色の宝石が入った指輪だったのに白が混じった青の宝石になってる


『ふむ…どうやら指輪にも祝福が適用されてるみたいですね』


「へぇ〜魔力込めてみよ」


指輪に魔力を込めると、目の前に氷の玉が現れる


「ええ…!?氷…?」


『水が適正強化で氷魔法に進化したみたいですね』


水の進化って氷なの?


「まぁいいか…なら早速氷を付与した矢で凍らかせてやるよ!」




「という事なんだよ」


「なるほど…よく分からん」


まぁイリスに祝福とか言っても分かんないか


「キシキシ…」


「変形:双剣」


弓から剣に変形させ、構える


『わざわざ変形と言葉にする必要あります…?』


なんかかっこいいだろ


『やれやれ…』


「「「クオオオオ…!」」」


うわ…なんかビームみたいなの撃ってきそうな雰囲気


「さっさと片付けてやる」


反魔球ならコイツらもひとたまりもないだろう


「まぁ今回は剣に纏わせるんだけどね…!」


原理は一緒、手に纏わせるのではなく剣に光魔法と闇魔法を纏わせる


「うわ…刀身が黒くなった…白い線の模様までついてるし…ちょっとかっこいいな」


『油断してると死にますよ』


「はいはい…」


「「カアアア!」」


キメラ達がいっせいにビームを放つ


「くらえ!反魔球:斬撃!」


お互いがぶつかり…そしてビームは消え去る


「悪いね!これ触れたら反発して消し去るんだ!」


「キエエ!」


「迅鈴刃流:四式!」


「四式だって…?」


ロディ先生が驚く


「双龍剣舞!」


2頭の龍が荒れ狂うようにも舞うように見えるその技はキメラ達を切り裂いていく


「「キイイイイア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」」


「終わりだ!」


最後の一撃が当たる


「ふぅ…ぶっつけ本番だったけど成功したな」


ただでさえ迅鈴刃流は無属性魔法の調節が難しいのに双龍剣舞は更に繊細な調節が必要だからな…


「まぁ…生み出したのは俺だけど」


「リュート君…四式って…」


「い、いや〜なんか作れないかな〜って試行錯誤してたら作れちゃいました」


「…全く…君の才能は底知らずだね」


「あはは…」


「やったのですね!リュート様!」


「うん、俺たちの勝利だ」


「ああ…疲れたー…私しばらく魔物見たくない…」


「お疲れ様イリス」


「お前もな、リュート」


「すごいね〜リュート!ズババってかっこよかったよ!」


「まぁね〜、というかなんでカナリーがここに…」


「それは…」



こうしていきなり現れた邪神を退け、キメラを無事倒す事が出来たのであった




2週間後



「はぁ…街の復興の手伝いがテストって…特級クラスなのにいいように使われてるような気が…」


「瓦礫全然減らねぇし…俺一応王子なんだけどなぁ」


「そういう時だけ王子を名乗ってお兄様は調子がいいですわね」


「ぐぬ…」


「まぁまぁ…ほらさっさと片付けるよ」


「へーい」


「リュート様〜」


「アリア?」


「陛下がお呼びですよ」


「国王陛下が?」


なんだろう?


「多分例の件かと…」


「…なるほど、分かった行ってくるよ」


「…私はどんなリュート様でもお慕いしてますから」


「アリア…ありがとう」


「父様になんか言われたら俺に言えよ、意地でも謝らせるから」


「あらお兄様と意見が合うなんて…うふふ」


「はは…あ、ありがとう」


俺は王の間へと向かった


「お呼びでしょうか国王陛下…」


「ああ…まずは街を救ってくれてありがとう、お前がいなければ街は今頃絶大な被害が出ていただろう」


「いえ…やるべき事をしただけです」


「そうか…次に…本当にお前の前世はあの魔王だったのだな?」


「…はい、俺の前世は…魔王…魔族の長であるバーンでした」


「…はぁ…そうか…」


ああ…胃が痛い…きっと何か罪に問わられるんだろなぁ…下手すれば国外追放なんて…


「聞きたいことは聞けた、下がっていいぞ」


「はい…はい?」


「どうかしたか?」


「え、いや…てっきり何か罪に問われるのかと…」


「はっはっ…!そんなことする訳ないだろう、お前は勇者リュートだろう?」


「え、ええ…そうですが」


「なら何の罪も犯してないじゃないか、それに前世だってあの邪神に操られただけだしな」


「でも…俺は沢山の人々を…」


「…しっかり償っているじゃないか、勇者としてな」


「国王陛下…」


「確かに前世では操られたとはいえ人間を殺めたのかも知れないが…それ以上に私達はお前に救われた」


「…!」


「…気にするなとは言わん、だがそう思い悩むな。そんな顔、人々に見せたら無駄に悲しませるぞ?」


「…はい…ありがとう…ございます!」


なんていい人なんだ…前世を知ってもなお俺を勇者として信じてくれてるなんて…


「ではな、今度魔族の話でも聞かせてくれ」


「はい!」



前世を知られたら皆に恐れられ…嫌われると怖かったけど、どうやらそれは間違いだったらしい


『いい人たちに出会えて良かったですね』


ああ…本当だな、皆が信じてくれたように俺も皆を信じよう



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