第六十九話
「今日もクエスト受けない?リュート」
朝食を食べていると姉上がそう言ってきた
「もぐもぐ…いいよ、俺も訓練になるし」
ただ魔石採掘だけは勘弁願いたい、大将はいい人だったけど。流石に2日連続は体と精神がもたない
「やった!じゃあ食べたら行こっか」
「あー…私は今日はパスする」
「イリス…大丈夫?」
「ああ…昨日張り切りすぎちゃったみたいでさ、全身が痛いのなんの」
イリスも頑張ってたもんなぁ…そりゃ筋肉痛になるな
「はは、わかった。じゃあ今日は姉上と2人で行こうか」
「本当?うふふ…リュートとデートだ…」
姉上は嬉しそうにパンを口に詰め込んでいる、まぁたまにはこういうのもいいだろう
そして俺たちはギルドへと向かった
「何受ける?」
「うーん…今日は早めに来たし手頃なものがあるといいけど…おっ…ゴブリン討伐じゃないか」
初めて受けたクエストだ、最初は殺す事に抵抗があったっけな。今は慣れたが一応心の中では祈ってるけど
「じゃあそれにしよっか」
「うん、そうだね」
ゴブリンぐらいなら姉上でも安全に倒せるだろう、そう言えば姉上はどのくらいの強さなのだろう?
適性は雷だったよな、珍しい適性らしいしどんな魔法が使えるのか元厨二病の俺としては気になる
「はいはい、ゴブリン討伐っすね〜。行ってらっしゃいっす〜!」
「「いってきまーす」」
俺たちは街の近場の草原へとやってきた、どうやらここのゴブリンは森ではなく草原に生息してるらしい
「最初はお姉ちゃんがやるから見ててね!」
「うん、頑張って姉上!」
「リュートからの応援…力が湧いてくるよ!」
ゴブリンがこちらへとやってくる、数は2体。姉上は大丈夫だろうか?姉上の持ってる武器は槍だ、リーチは長いが間合いを間違えると対応が難しい武器だ。
「ふぅ…雷魔法:
「えっ…」
姉上が少し光ったと思ったら消えて、一瞬で2体の所へ現れた
「グギ!」
槍で一体を刺し
「グギャ!」
抜いた反動を逃がさずもう一体を貫く
「ふぅ…余裕ね!」
…姉上めちゃくちゃ強ない?なんだよあの魔法!カッコよすぎる!俺が今まで見た魔法の中で1番だよ!
でもあれはどうやってるんだろ?速く移動する魔法なら、風魔法纏い、無属性魔法魔力超速、迅鈴刃流があるけど。今のはそのどれよりも速かった、速く移動したと言うよりそこにワープしたような感覚に近い程に
これは姉上に聞かなければ!
「姉上めちゃくちゃ凄い!」
「そう?えへへ、いっぱい鍛えたからね!お姉ちゃんは強いんだから!」
「あれどうやったの?俺知りたい!」
「えー?うーん説明が難しいけど、雷の魔法を纏って移動したい場所に高速で飛ぶ感じかな〜」
飛ぶ…走るとかじゃないのか、纏うのは風魔法と同じだ。ただ雷魔法と言うだけあって何かしらの補正が掛かっているのかもしれない。
無属性魔法でも再現したいけど、流石に無理そうかな
でも飛ぶというのは思いつかなかったな。コツとかあるのだろうか
「すごいね!ほ、他にコツとかあるの!?」
「コツか〜、セバスチャンが言うには移動したい場所に自分が居るイメージを強く思い浮かべる事って言ってたかな。そのせいで絵まで描かされたよ…うう…」
移動したい場所にか…別に瞬間移動する訳では無いのに何故イメージを?
「うーん…なんでイメージしなきゃいけないなんだろ?」
「さぁ、お姉ちゃん分かんない!」
姉上は胸を張って答える、そこ誇らしげに言うところじゃないと思うな〜
「ねぇ次はリュートが戦ってみてよ!お姉ちゃんリュートの戦う姿みたいな〜?」
「分かった、じゃあゴブリン探そっか」
ふふん、姉上を驚かせてやるぜ
「いた…3匹か」
「リュートは城でいっぱい訓練したんでしょ?楽しみだな…!」
「まぁね、じゃ、やりますか」
出来るだけ派手な技を見せてあげたい…
てか俺派手な技殆ど持ってないな?無属性魔法は全部見えないから凄さ分かんないし光魔法も回復メインだし…後は複合魔法と迅鈴刃流しか残っていない
「やりすぎな気がするけど、複合魔法:光聖魔弾:3連」
光る鋭い玉がゴブリン達の頭へと吸い込まれ乾いた音と共に頭を貫通する
「「「グッギ…」」」
「ほあー…!すごいよリュート!」
「そうでもないよ」
と言いつつ鼻は伸びている
「かっこいい!大好き!世界一!」
「褒めすぎだよ、ありがとう姉上」
流石に照れくさい
「えへ…はぁリュートとのデート楽しいなぁ…」
すっかりデート気分の姉上、そんな事言って姉上の好きな人に聞かれたらどうするのだろう?
「ほら、まだまだやるよ!リュート」
「う、うん分かった」
まぁ俺も楽しいしいっか、本当たまにはのんびりとしたクエストもいいな
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