第79話わたし、魔法少女になりました そのさんじゅうろく(その言葉はきっとわたしの意志の言葉です)
わかってるから言わないで。
そんなことはわかってる。
わかってるからもうやめて。
言われなくてもわかってる。
わたしがなにをしているか。
わたしがどのぐらい汚いことをしているか。
そんなわたしがどれだけ汚れたモノなのか。
ミドリになにをできるのか。
わたしはどれくらい酷いことができるのか。
そんなわたしはどんなに酷いモノなのか。
全部、全部わかってるから。
言われなかったけどわかってた。
わたしがどれほど酷く汚れたことをしているか。
そんなことをひとにできてしまうのが、わたし自身だということも。
自分にできる限りの精一杯を使い潰して、ひとを尽くせるということも。
だって、全部あなたがわたしに教えこんだことなんだから。
ひとつ残らずわたしのからだに叩きこんで。
わたしのこころに隈なく刻み込んだことなんだから。
言葉にして伝えられたことは一度もない。
だけど、
だから、言われなくてもわかってた。
最初からわかってた。
それはいまでもわかってる。
変わらず思ってる。
同じように想ってる。
なのにどうして。
いまでもあなたの声が聞こえてくるの。
もうあなたはいなにのに。
いまになってあなたはそんな言葉を聞かせるの。
あなたはもう死んじゃったのに。
わたしの前から、消えてしまったはずなのに。
なのに変わらず、わたしを縛りつけておく気なの。
それなのに同じようにして、わたしを囚えておく気なの。
それでもいまだにわたしのことを、
けれど、そんなことあるわけない。
いくらあなたでもそれはない。
そんなことがあっていいわけない。
あなただからこそあってはいけない。
だって、あなたが言ったことなんだから。
ひとは死んだら、全部が終わりなんだって。
死んだところで、ひとの全部が終るんだって。
死んでしまえば、ひとは全部を終わりにできるんだって。
全部、あなたがわたしに言ったんだ。
そんなあなたが、いまだにわたしを手放すことなく
そんなのお互い
死んでからも解放されることがないなんて。
最近なんだか似たような話を聞いたけど。
そんなモノはこの世界に、魔法少女だけでいい。
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