Magical×Debtor/Girls=魔法少女はローン持ち+返済できれば何でもします!
第54話わたし、魔法少女になりました そのじゅういち(いつからわたしの意志があるなんて、思ったりしたんでしょうか)
第54話わたし、魔法少女になりました そのじゅういち(いつからわたしの意志があるなんて、思ったりしたんでしょうか)
わたし、何か悪いことしたのかな。
そんなことしないように、こころがけたはずなのに。
わたしのしたこと、どこか間違ってたりしたのかな。
そんなことにならないように、こころにとめたはずなのに。
たしかにわたしは、あいつらに非道いことをいっぱいやった。
でもそれは、すっごく愉しかったから。
自分のやりたいことを、好きなだけやれるのは気持ちよかった。
自分はあいつらより弱くないって、
でも、あんなことが善いことだなんて、これっぽっちも思ってない。
でもそれは、悪いことだったんだろうか。
お母さんは、あんなに嬉しそうだったのに。
だけどそれが、とっても快感だったから。
自分のできることを、好きなようにできるのは楽しかった。
自分のほうがあいつらより強いんだって、
だけど、あんななことを正しいことだと、言うつもりなんて全然ない。
だけどそれが、間違ってたんだろうか。
お母さんは、あんなに面白そうだったのに。
だけど、わたしは魔法少女をやりきった。
あいつらを殺して、友だちを戻して、世界を守った。
手段はなんでも結果をだした。
目的はともかく成果をだした。
それじゃ、いけないんだろうか。
それだけじゃ、いけないんだろうな。
だって、わたしは。
わたしに善いことなんて、上手くできない。
それでも、わたしは。
悪いことをしたくないから。
こころを檻にいれて、閉じこめないとならないんだ。
そうしておかなきゃ、ならないんだ。
わたしは正しいことなんて、上手にできない。
だけども、わたしは。
間違ったことはしたくないから。
こころを縛って、鍵をかけなきゃダメなんだ。
そうでもしなきゃ、ダメなんだ。
そうすることはわたしにとって、当然のことなんだ。
そんなことはわかってる。
ちゃんと全部わかってる。
そうすることが、正しいことだって。
そうなることが、善いことだって。
わたしはずっと、教えられたから。
お母さんが死ぬまでずっと、教えてくれたから。
こんなわたしでも、正しく善きものになれるにって。
だってわたしは、
それは、お母さんがわたしに一番最初に教えてくれた、たった一度だけ教えられたこと。
わたしがいけない子だから、これからいろいろなことを教えるんだって。
わたしに正しいことができるように。
わたしが善いものになれるように。
わたしのことを、
そうしてお母さんはわたしに言ったんだ。
「こいし。あなたは善いものになれる
そしてわたしにいろいろと、やってはいけないこととやるべきこととを教えてくれたんだ。
だけど、お母さんは一番大事で大切なことを、一度もわたしに教えてくれなかった。
そんな根本的なことに、いまになって気がついた。
そんな基本的なことを、いまのいままで気づかなかった。
それをお母さんは最後まで、わたしに教えてくれなかった。
死んでもわたしに、教えてくれなかった。
だってわたしはいけない子だから。
まるでそんなことは、教えるまでもないというような。
まさにそんなことを、教えることはないというように。
だから、そんなことがわからなかった。
わかってないことに気づいたとき、わたしの全部が動きをとめる。
それはこころが真っ白に漂白されていくような感覚。
あたまのてっぺんから血の気がひいて、からだが冷たくなっていく。
わたしはいままで自分の意志で、全部選んで決めたと思ってた。
だけど、そうじゃなかったら?
いままでわたしは、お母さんの教えに従ってきた。
だったら、わたしが自分の意志で選んで決めたと思っていたことは全部。
わたしの意志なんて、最初からなかったんじゃないか。
わたしがいけない子で、悪い子で、間違った子でも。
そんな間違った悪しきものだとしても。
最初から、お母さんの意志に
そう、思ってしまった。
そのことを気づかせて、そんなことを思わせてくれたのは、いつもどおりに落ち着いて揺るがない緑の目の言葉。
その緑の目がわたしに言った。
「キミは何も悪いことはしていない。キミは何も間違ったことをしていない。キミがそんなことを思っていても、
何が悪くて何が善いことなのか。
何が正しくて何が間違ってるのか。
わたしはこれから、選んで決めていかないといけないんだ。
そしてお母さんの教えと緑の目の言葉。
どちらを選ぶか、わたしは決めないといけないんだ。
なにがわからなかもわからないのに。
きっとどこかにある
あったとしてもそれが
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