第45話わたし、魔法少女になりました そのに(誰に何を言われても、わたしの意志は変わらず同じです)
わたしと、同じ?
彼女が、わたしと?
どこらへんが、どんなふうに?
「確かに彼女は何も言わなかった。何も反論も反対もしなかった。でもそれは彼女が弱かったからじゃない。その場では何を言っても無駄だと解っていたからだ。避けられない決定なら真正面から立ち向かう、それが彼女のやり方だったから。そして彼女は聡く鋭く何より
「条件? それってどんな?」
「彼女は言った。『あなた方の世界の方々が、私の世界を訪れたいというなら自由になさって構いません。私の世界に来てくださった方々を
何かまた新しい単語が聞こえた気がしたぞ。
でも、いまはそれより。
「それって、その
「まさにその通りだよ。そしてそれが
うんうん、なるほど。
「わかった。要は、
「
よしよし、ということは。
「わたしの好き勝手に、やってもいいんたよね?」
だってそれは。
「仕事さえ果たせば問題ないよ」
その言葉の意味は。
「わたしの気持ちのままに、やってもいいんだよね?」
彼女のホントに言いたいことは。
「やることさえやれば構わないよ」
あいつらを全員、
「そういうことなら、本気でやる気がでてきたよ」
ヘンな気がかりもなくなってサッパリしたしね。
もともとあんまり気にもしてなかったけど。
これで心置きなく気兼ねなく、
でも気になることがまたできちゃった。
「けど、それだとなんで
それはさすがに見過ごさないと思うけど。
「そこが彼女の強かさだよ。他の維持管理者たちは彼女の真意に朧気ながら勘づいてはいた。しかしこの世界にそんな力はないと高をくくってもいた。なにせ彼らがこの世界に押し付けようとしてたのは、もう彼らの世界では手に余り、手を焼かせ、手に負えななくなった存在ばかりだからね。あとは今日キミが相手にしたような、自分の世界から逃げ出したような、自分の世界から見捨てられたような連中も含まれるけど、どちらにせよこの世界が対処できるとは全く考えていなかった。その隙と驕りを、彼女は見逃さなかった。彼女は身の程知らずの道化を演じ、彼らから見下されることで最大の好機を掴んだ。
ひとを危険物みたいに言わないほしいんだけど。
それならあんたも彼女も持ってるっていうの。
「そんな勝手にドクロマークをはっつけたりしないでよ」
「いいや、そんなことないよ。キミたちにこそ、その印を背負うに相応しい。目にしたものへ否応なしに死を想起させ、その通りに問答無用の死をもたらす。キミたち魔法少女こそ、まさに
それじゃあわたしたちの背中には、知らないうちにそんな
少なくとも、わたしはそんな魔法少女みたことない。
「花って言ったり毒って言ったり、しまいには死だなんだと好き勝手に言ってくれちゃって。結局
まあ、答えはわかってるけどさ。
あんたの口から言わせたい。
あんたの言葉で答えを聞きたい。
自分でわかってることを訊くことが、善くないことだったとしても。
「可憐な花には毒があり、それを目にするには生命を対価に支払わねばならない、って言うでしょ」
「いや、言わないよ」
いまどきそんなこと言うひといないよ。
それにもし言ったとしても、それは男のひとでも女のひとでも、格好いいひとが言うから様になるセリフでしょ。
全部の条件が、あんたのどこにも当てはまってない。
だいたい、
どうせ訊いても「その差に区別をつけることは、キミにとってそこまで重要な問題なのかい?」とか言って逆に訊き返してくるに決まってる。
いや、そうじゃなく。
わたしの聞きたいことはそうじゃなく。
「勿論、キミたちは彼女の創造した生産システムによって、 異世界からの侵食者を排除するために産みだされたモノにすぎない。他人のための願いを叶えた代償と、他人の願いを叶え続けるための代価の支払いを差し引いた、
でも聞きたかったんだよね。なんて空耳が最後に聞こえてきそう。
そうやって自分がいったい何なのか、かみ砕いてキズにべったり刷りこむように、懇切丁寧に伝えてくれる。
何の
まざまざと、ありのままを思い知らせてくれる。
でもだよねー、そうだよねー。そうじゃないと
わたしも、
「それが、魔法少女なんだね」
「そうだよ。これが魔法少女の出自と在り方と仕事だよ。
まったく、なんて話だ。
「ホント、ひどい話だよ」
「キミが言っても説得力の欠片もないけどね。だったキミはどこも傷ついていないし、何の痛みも感じていないんだから」
「それこそひどいなー。そんなこと
「またそんな白々しいことを。キミがそんな
それはこの世界であんたにだけは言われたくない。
「でもさー、なんで
うちのクラスの男子たちなら、むしろ積極的にやりたがりそう。
悪いヤツらからこの世界を守るためとか何とか、適当なこと言えば。
そんな責任転嫁と八つ当たりが混じったようにも聞こえる、けど実際はただの単なる疑問に、緑の目ははっきりと明確な理由を示して答えて返す。
「それはね、本当に大事なことは、真に必要なものは
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