お誕生日会 3

「――じゃあ何?アタシはアタシに嫉妬してたわけ?」


「んー……、まあ…そーゆー事かな?」


雪ちゃんの話でハナちゃんと盛り上がっていた訳だから、あながち間違った例えじゃないかも。


若干の世間話はあったけど。


雪ちゃんが、はぁ……と肩を落とした。


「大人気なかったわね……ごめんなさい」


「まあ、もう終わった事だし、勘違いさせちゃった私も悪かった訳だし、気にせず食べてよ。ほら、おいしーよ?」


私は、ニカッと笑ってタマゴサンドを差し出す。


「ありがとう。……うん。美味しい。アタシ好みの味だわ」


「でっしょー?頑張ったんだから!ジャンジャン食べて、力付けてね!」


このあと私達は、お腹がパンパンになるまで食べて食べて食べまくった。



******



チャポン――……。


「ふぅ……」


私はお湯を張った浴槽に浸かり、浮かべているアヒルのオモチャを突いた。


「楽しかったな」


フフッ……とさっきのパーティーを思い出し、自然と笑みが零れる。


明日は日曜日でお休みだから、この後も久し振りに二人でのんびりしよう。


「色々あって大変だったし……」


ホント、あの事件の後は大変だった。


私は雪ちゃんと違って怪我をしていなかったから、その日の内にここに帰れた。


次の日は平日だったし、会社に行かない訳に行かなかったから出社したんだけど……。


あれ?私って芸能人?って位、質問攻めに合った。


一番多く聞かれたのが、


『オネエなのに本当に付き合っているの?』


だった。


まあ、そりゃそうだ。


誰だって不思議に思うよね。


もう、ある事ない事言われるのは面倒だし嫌だったから、私は素直に全部を話した。


その時のみんなの反応がまた新鮮で、大半の人達が「オネエだからって、何も変わらないのに」と言ってくれた。


その時は、ちょっと泣きそうになったな。


素直に全部を話したせいか、噂はたちまち消え、業務に支障をきたす程ではなかった。



笹木は、逮捕された。



雪ちゃんに怪我を負わせているし、私に対してストーカー行為をしていた訳だから、当然と言える。


笹木は素直に取り調べに応じているみたいで、雪ちゃんにした事、私にした事は許せないけど、ちゃんと罪を償ってこのまま改心してくれる事を願うばかりだ。




……そろそろあがろう。


考え事をしながら入ると、どうしても長湯になる。


私はのぼせる前に、浴槽から出た。

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