ハナちゃんの協力 1
「ん~~~!ここのチーズケーキ美味し~~~!!」
私達は少し遅めのランチを済ませ、食後のデザートを堪能中。
「ここのチーズケーキは有名だものね。売り切れてなくて良かったわ」
雪ちゃんがコーヒーを優雅に飲みながら足を組み替えた。背が高くて足が長いから、かなり様になる。なんだか悔しい。
「雪ちゃんは食べないの?」
「アタシはいいわ。ご飯だけでお腹いっぱい」
「そお?」
確かに結構ボリューミーなランチプレートだったけど、ケーキ一個くらいの余裕はある気がするんだけど。
「食後にケーキ食べたいから、って、誰かさんのランチプレート1/3以上アタシが食べた気がするけど?」
「あ、そうでした。失念。雪ちゃんありがとう」
「まったく」
「えへへ。……あ、ここケーキ、テイクアウト出来るみたいだよ?」
「あらそうなの?じゃあ買って帰ろうかしら」
「うんうん。何買ってく?」
ワクワク、とメニュー表を見ながら聞き返すと、雪ちゃんがジト―ッと視線を送って来た。
「……太るわよ」
「むっ!これくらいヘーキだし!」
「本当ぉ?」
「ホントだってば!」
「こないだほっぺにお肉が付いて来たとかなんとか言ってなかった?」
「うっ……なぜそれを……」
「確かに最近ぷにぷにするわよね、江奈のほっぺ」
雪ちゃんが私の頬をツンツン突いて来た。
「う、うるさいな!良いんです!後からダイエットすれば」
ていっ!と突かれた雪ちゃんの手を払いのけた。
「別にダイエットなんてしなくていいわよ。今までが少し細すぎ。アタシ的にはもうちょと太ってても問題ないわ。その方が触ってて気持ちいいし」
「えっ……」
さ、触ってて気持ちいい……!?
(触ってて気持ちいい、って!)
言われた言葉を反芻すると、カーッ!と顔が熱くなった。
「どうしたの?」
自分が放った言葉で私がこんなんなってる事に気が付かない雪ちゃんは首を傾げている。
「な、なんでもない……」
「そ?」
天然タラシみたいな雪ちゃんは放っておいて、美味しいチーズケーキに集中しよう。
そう思ってフォークを手に取ろうとした時、私のスマホが鳴った。
「……あ、ハナちゃんから電話だ」
「ハナから?」
私の言葉に、雪ちゃんのコーヒーを飲んでいた手が止まり、ピクッと眉毛が動いた。
「う、うん。ちょっとごめん」
私は電話を一旦保留にし、外に出てから再度かけ直そうと席を立った。
「ここで掛け直せば良いじゃない」
「え……。あ、でも、電話の声ってうるさくなっちゃうから外で掛けて来るよ。他のお客さんの迷惑になるのイヤだし」
「……ふ~ん」
納得したのかしないのかよく分からない返事だったけど、他の人の迷惑になるのが嫌なのは事実だし、私はスマホを持って外に出た。
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