第17話  VS いじめっ子の首領:クソ金髪ロンゲ その3

 さて、今日は遂に神装機神の搭乗試験だ。


 今回は運動場ではなく、学院外れに設置されたコロシアムのような訓練場での試験となる。


 ちなみにリージュも来ているのだが前回のことを反省しているのか、まつ毛を伏せて顔を真っ赤にちんまりと観客席に座っているな。


 そして、コロシアム中央に鎮座しているのは体長10メートルを超える巨大な機械人形だ。


 甲冑を着込んだ騎士をそのまま巨大化したような外観であり、このあたりは400年前から何も変わらぬな。


「クラウス……リチャードも君がやったのかい?」


 ニヤけ面でそう語りかけてきたのはクリートだ。


 そうして、余は「やれやれだ」とばかりにため息交じりにこう答えた。


「何のことか分からぬな」


「ふん、白々しいね。カリーナ、アドルフに続き、今度はリチャードだ。だったら君以外にありえないだろ?」


「アドルフについては試合中の事故、脊髄損傷でチャクラが乱れるのは良くある話だ。それにカリーナはただ実家に帰っているだけ」


「では、リチャードは?」


「多感な年ごろだ。自分探しの旅にでも出かけたのだろう」


 そう余が答えたところで、クリートは醜悪に口元を歪めた。


「ふふ、まあいいさ。先祖返りだか何だか知らないが、君の快進撃はここまでだ」


「えらく自信満々だな」


「そりゃあそうさ。神装機神には……先祖返りは乗れないからね」


「先祖返りは乗れない……だと?」


「先祖返り現象は世界の歪みだ。本来あるはずの無い神代の時代の力を現世に授かった影響で……魂に濁りが出るのさ」


「……ふむ」


「君の歪んだ脳内魔法回路では神装機神の人工筋肉に上手くアクセスができないのだよ。魔力エネルギー伝導に致命的障害が起き、立位すら保持できないのは歴史が証明している」


 まあ、余は先祖返りではなく転生者なので何の問題もないな。


 脳内魔法回路もクラウス少年のものをそのまま使っているし。


「それに引き換え、僕は王国の守護盾と呼ばれる機神乗りの嫡男だ。龍核へのアクセス効率は遺伝的に最高レベル! それが天才! それが血統! 戦いの優劣を決めるのは才能なんだよ!」


「天才……か」


「神装機神に搭乗すらできない君は、所詮は2流止まりだ。戦場での主戦力はあくまでも神装機神……生身の君では逆立ちしたところで、僕には一生かなわない」


「……」


「それと、僕が公爵家出身なのは知っているね? 僕も後ろから付け狙われるのも面倒だし、試験が終われば、君には地獄を見てもらう」


「他の連中を酷い目にあわせたのが余であると前提のようだが、証拠は?」


 まあ、余がやったのだがな。


 すると、余の問いかけにクリートは不思議そうにこう言ってきた。


「証拠なんてないさ。いや……公爵家が証拠があると言えば、それは法廷ではあることにされるんだ。捏造されても……裁判官が認定すれば、それは立派な証拠だからね」


「はは、腐っているなこの国は」


 そういえば、クラウス少年の転科を阻止したのもコイツ……だったか。

 貴族がやりたい放題なのはいつの時代も同じだが、少し調子に乗り過ぎのように見えるな。


「教えてやろう。この国では公爵家が法律なんだよ」


「はは、王国の守護盾が聞いてあきれるな」


「どうにも君は今一つ分かっていないようだね……ならば僕が例えてやろう」


「例える……何をだ?」


「例えば、僕は誰にも屈しない。なぜなら僕にみんなが屈するからだ」


「……それで?」


「僕が優雅な白鳥なら、君はゴミ箱を漁るカラス。僕がダイヤモンドなら、君は道端で蹴られるただの小石だ」


 ふむ……。

 どうしてもこの無能は、吠え面をかかなくては気が済まない性格のようだな。


「しかし、この例え……どこかで聞いたような気がするな」


「ほう、現人神の記した古典名作文学を例に出したのにこれが分かるのかい? 君にも微かながらにでも教養があるのだね。ならば……僕の中での君の評価をクソ虫からゴミ虫にランクアップしておこう」 


 そういえば、かつて転生者のムラシマが教えてくれたチキュウとかいう場所の物語にそんなクダリがあったような……。


 まあ良い、それはそれだ。


 と、その時、ポンとクリートの肩に掌を置かれた。


「君の言うことは何一つ間違っていない。そのとおりだぞ――クリート学生」


「あ、貴女……貴方様は……イザベラ学長!」


 マッハのスピードで土下座をするクリート。


 そして、余は……ドギツイ香水の匂いに辟易しながら、イザベラの顔を眺めた。


 真っ赤な髪。


 ドデカイ乳。


 これまたドデカイ尻。


 露出の多い派手な衣装に、濃い化粧。


 ――400年前から何も変わらぬその姿


 美しいのは美しいが、ケバケバしすぎて余の好みではない。


 ちなみに、余が一番好きな女の系統はロリババアである。


 やはり、女は……2000歳以上の……吸血族や永きを生きた魔女のロリババアに限る。




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