まじりっけがなく、他に邪魔されないのを良しとしてバニラアイスを食べる彼女。
この冒頭からいっさいは始まっていた。
短い物語だからこそ、無駄の無いよう徹底されており、その上、読者の中で読後、反芻的に吟味する空白性も兼ね備えているのが非常に魅力的。
彼女らの現状を世間は、不幸せなカップルと言うだろうか、それとも愛を誓い合った幸せなカップルと言うだろうか。
いずれにしても感想ではあるが反論することが可能であるからこそ、愛の在り方について真っ向から考え直すことが出来る。
更に興味深いのは、この視点が必ずしも現実と断言できないところに、SFを越え、思考実験的試みがあることだろう。
この季節にぴったりの短編ですね。青春ものの甘酸っぱい展開かと思いきや、社会問題をはらんだ内容になって少し驚きました。確かに、その技術があったら将来導入されそうな制度だなと思います。最近、本当に暑さが殺人的で、クーラー必須ですからね……
そして読み進めていくと、ラストにびっくりさせられます。詳しく書いてしまうとネタバレになってしまいますが、そういうことか!と膝をうつ出来ですね。くどくど書かれてはいないのですが、ラストに辿り着くまでのメインキャラクターの人生に思わず思いをはせてしまいました。きっと、色々あったのだろうと切なくなってしまいます。
余韻の残る良い短編でした。これからも頑張ってください。