第79話秋晴れの午後

文化祭は中止になった。


来週から中間テストだ。


北雄は今迄に前例がないくらいの勉強量をこなしていた。


暇さえあれば勉強に集中した。


神奈子と別れて、そのことを忘れるためのカモフラージュとも言える。


これだけ勉強しても学年98人中せいぜい70番くらいなんだろうな。


長渕剛の到達点のアルバム「JAPAN 」。


いつ聴いても心に沁みる。


ラストの「MOTHER 」が自分のベストトラック。


I phone で「JAPAN 」を聴きながら、登校する。


今日もまた勉強、勉強ひたすら勉強。


最近やっと教師の言ってることが8割くらい理解出来るようになってきた。


今の我が家の経済状態では塾には行けない。


親父には大学は行かず働くと言ってある。


しかし10月になると、自分にとって11、12月は蛇足に過ぎない。


10月が自分にとっての1年の締めだ。




昼休みに屋上でメロンパンを食べてる。


五宮フレイユがもじもじしながら上がって来る。


「よう美人さん、ご機嫌いかが?」


フレイユの顔は赤くなる。


綺麗なだ。見とれてしまう。


フレイユはメモを渡してくる。


電話番号が書いてある。


「俺に電話番号教えていいの?」


フレイユは首を縦に振る。


彼女の顔が和らいで微笑みになってくる。


西洋絵画を見てるように美しい。


2021(R3)10/15(金)

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