第65話未練たらたら、ちぎれる夢

「なんか、会いたい……」


神奈子は鼻をすすってる。泣いてるのか?


「いや、もう終わりでいいんじゃないか?」


「北雄はそれでいいの?」


「いや、いいとかじゃなく、お前相手いるんだろう?」


神奈子は黙り込む。


「未練がないと言えば嘘になる。でも、もう終わってるんだよ」


しばらく沈黙が続く。


「涙橋で待ってる」


そう言って神奈子は電話を切る。


数日前に別れてるから、生々しいんだが、不思議と引きずってない。





涙橋は行かず、コムドリアに顔を出す。


「マスター、なんか新しいの入った?」


マスターは煙草を吹かしながら


「新しくはないんだが、カーズのリック・オケイセックのソロ2枚のアナログが入った。1枚300円でどうだ?」


「へー、結構出回ってないでしょ、特にこの「Beatitude 」は見ないなあ、本当に300円でいいんですか?」


「構わんよ、片っぽはレンタル落ちだけど大丈夫か?」


「大丈夫です。親父のステレオで聴かせてもらおう」




さて中間テストまでもう少し。


らしくないけど勉強モードに入る。


2時間くらい集中してた。そういや神奈子はまだ涙橋で待ってるんだろうか?


まあ、あの細身の男子と仲良くやってくんさい。


2021(R3)10/7(木)



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る