第367話 2015年8月 12
歩む速度を上げ続ける彼女の背中が、群衆に呑まれ、時折、見えなくなっていく……
あの背中を……
追いかけないと……
俺は……
俺は一生、後悔するんじゃないのか?
「リリィさん!!」
聞こえているのかいないのか、微妙な距離な上に、群衆が発する音にかき消され、俺の叫びなどは手前の数人が振り返る程度ものでしかなかった。
「すいません……」
人混みをかき分け、リリィさんを追う。
「……通ります」
幾人もの人の流れの逆らい、器用に人混みを避けてどんどん先へと進む華奢な背中を俺は追いかける。
腕を……
彼女の左の腕の細い手首を……
俺は優しく、そして、強引に掴んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます