第357話 2015年8月 2

港の周辺は既に大勢の人でごった返して、普段の人影まばらなこの街では、見る事のない活気に満ちていた。


「けんちゃ~ん! こっちよ!」


雅さんが遠くで馬鹿でかい声を上げて両手を振っている。


「オーナーお久しぶりです」


「……おう! 健太郎、元気か?

お前なんかどうでもいい、こんにちは、お嬢さん」


「お久しぶりです」


「……いや~!!


久しぶりだね、元気だったかい?


それにしても、また、女っぷりを上げたんじゃねえかぁ?

今年で二十歳くらいだっけ?」


オーナー5年前と言ってること変わってませんよ……


「17です」


「じゅ……はあ、そうだっけ……


まあ、楽しんでってね」


がっくり肩を落としたオーナーは、そうリリィさんに言うと、最前列の中央、自分の席へと消えていった。

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