第270話 みんなのたたかい14

相変わらず不服そうに佇む教頭が促され一歩前に立ち、俺に、


「申し訳ありませんでした」


通り一遍に頭を下げる。

頭は廊下の方を向き、正対する俺、ご学友の方に向いていない。

あきらかに……謝罪などするものかという態度を示した。


「そんな謝り方あるか!!」


「ふざけるな!!」


ご学友の怒声が飛び交う。特に俺が教頭にやられていたあの時にいた10人のご学友の憤り方が半端なく、その怒声は教室を超えて遠く聞こえていたと思う。


これは、俺と教頭の問題だ。

ご学友にこれ以上汚い言葉を使って欲しくない。


俺は立ち上がり、


「教頭先生、謝罪は気持ちが出ます。


今の先生の態度はとても心から謝っている様にはみえません。

所詮は主観ですが、私の主観では謝罪をしている様には見え無いし、私の店ではこれは謝罪とはいえません。


そう、教頭先生がおっしゃる、いかがわしい店でもそんな謝り方は通用しないという事です。謝罪が出来ないという事であるならば、出来るようにいたしましょう。


校長先生! 教頭を私の店で、教頭が卑しい心で卑下した、いかがわしい風俗店で謝罪の方法を私が一から教え込みます。教頭をウチの店で預かってもよろしいでしょうか?」


ざわつく教師陣と驚愕の表情を浮かべる教頭を横目に、


「アハハハハ! 面白い! 


是非にとも、この世間知らずを、引き取って、まっとうな、謝罪くらい出来る大人にして返してくれ。これは愉快だ。


教頭、あなたがさげすんだ仕事がどれほど大変か身をもって感じてきなさい。それが出来るまで戻らなくて結構。よろしく頼むよ、佐藤君」


プライドなんだろうな、変な自己優越、自分はえらい、自分以外は劣っている。


いつから間違ったんだろう、この男は。

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