第136話 水族館1
「けんたろうー、イルカさんだよ。イルカさん」
バスの中でエンドレス大はしゃぎ、水族館で大はしゃぎ、今日のリリィさんは上がりまくりです。夜、熱出すなよ……
一仕事を終えたイルカちゃん達が、プールの中を楽しそうに自由に泳ぐ姿を、イルカショーの観客席から居残って二人で見ていた。
「ウチの水族館もイルカちゃんいればいいのにね」
「そうね。シーラカンス推しだからね」
地元のこじゃれた水族館、いつも釣りしていた防波堤から見えていた水族館を差して、リリィさんが吠える。七月に、行きがかり上、年パスを買い与えてから、一緒に行こうと、しょっちゅう付き合わされている水族館の事だ。
「サンマいるじゃん」
「ちょっと違うよね」
「あ、あれ地味な割に飼育が超難しいって知ってた?」
「え? うそ! 知らないよ! そんな大変なの? いっつもスルーしてたけど」
「そうなんだよ。目を引く奴に手間かけるのって普通じゃない。なのに、意外とサンマ目立たなくて飼育難しんだって」
「なんか、報われないのね……でも、凄い。けんたろうー、何処で仕入れたネタなの?」
ふふふ、見たか、完ロリ。日々、お前のヘ〜をもらう為に努力を惜しまない俺を!
良い笑顔のリリィさんが俺を見つめて離さない。
エトピリカの仇を江の島で討ってやった!
「リリィさん……ご褒美のハラショーください」
「通報するよ!」
一睨みだ。
“20代後半の男、江ノ島水族館で小学女児にハラショーくださいと呟く事案発生。注意願います”
どんな事案だよ。
一つため息をつき、俺がまわりを見ると……あれ?誰もいねぇぞ。
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