第101話 元おじさん・・・反撃開始!



「マズハ、腕一本~♪」


 その言葉に急いで左腕を確認しよとしたが、周囲の時間が止まった様な感覚に変わった、これは覚えがある〈スキル:高速思考〉を使用した際の感覚だ!


「告、マスター落ち着いて下さい! 左腕は無事です! ご自身の装備されているモノがどの様に理不尽な防具かお忘れですか?

 あのような、出汁だしにもならないスカスカの骨の魔法等で傷一つ付く筈が在りません」


 気を使ってくれたのだろう、段々と落ち着いて来た。


「告、相手は〈ハイリッチ〉、リッチの上位種です。

 魔法関連の能力が高く、アンデットですので非常にしぶといですが、マスターでしたら問題無く叩きのめせます!」


 なんだかラヴィが怒っている様に思える?


「告、今回は私の油断が招いた事です、ダンジョン内でダンジョンガーディアンを倒した時点で終了したと思っていたのが誤りでした、討伐終了後に44階層の反応が突然出現ました!」


 要するに、43階層をクリアする事が条件の隠しエリアって事か?


「解、その認識で問題ありません、アレはマスターの世界で云う裏ボスの様な物です」


 ・・・ラヴィ、おじさんの裏ボスのイメージは、その44階層の奥で強者感を出しながら待ち構えている様な感じなのだが?


 これじゃあ、まだ閉じている44階層から43階層への扉の前で開くのを待ちながら待機していたのか?


 あの様子だとわくわくしながら待って居た様に思えるのだが?


「・・・理解不能? マスターの思い違いではないですか?

 仮に! 仮にそうであったとしても、あの様な可愛げの無い骸骨が扉の裏でそんな事したって、誰得ですか!」


 珍しくラヴィが吠えた!


「そうだよ! クロクロ、可愛い子が驚かそうとやったのなら、優しいお仕置きで済ませてあげるけれど、それ以外には死ぬ様な制裁が必要だよ!」


 何かシオりんからも危ないセリフと危険なセリフが聞こえた様な気がするがスルーしよう。


「告、マスターに提案があります! レベルアップの経験値を幾つかのスキルレベルをMAXに上昇させる為に使用させて欲しいのです!」


 ・・・ふむ、理由としては今回みたいな事が起こらない様に万全の体制にしたいからか?


「是、今回は装備のおかげで防げましたが、常に同じ状況では在りませんので出来る事は今の内に済ませたいのと必要な経験値が目の前に居ますので、クサレリッチを10回程討伐すれば目標の経験値に為ります」


 そんなにハイリッチて居るのか?


「解、44階層で時間が経てばリポップしますので細工をして短時間で出来る様にします!」


 うわ~、碌でも無い事に為りそう、でも10回も討伐って大変じゃないか?


「はいはーい! わたしからの提案! 出来るか分からないけれど、某ゲームのフェニックスの〇的な攻撃って出来ない?」


 ・・・あ~アレか、如何だろう? 出来たとしたらアンデットに対しての理不尽な攻撃が出来るだろうけれど。


「・・・・・・! 可能です、必要な条件を満たせれば用意出来ます!」


 出来るんだ、ラヴィ条件はどんなモノ?


「解、マスター祝福Pしゅくふくぽいんとを全て使用させて下さい。

 まず、心体力の知力と精神の数値を上昇させるために祝福P400Pを消費して以前ドゥジィン様が為さっていた方法で800Pに増やして、それぞれに400P振り分けます。

 これでクソリッチの魔法抵抗を余裕で抜けます!

 残りの祝福Pは調整の為のスキル習得に使用します。

 よろしいでしょうか?」


 ・・・必要で在るのなら遠慮無くやっちゃて良いよ!


「了! 認証確認・・・祝福Pしゅくふくぽいんと使用!・・・調整完了! これより対アンデット殲滅スキルの作成開始!」


 何だか物騒なスキルが出来そうだな。


「告、スキルが完成しました! 神聖魔法・陰陽道・五行思想を参考にしてルドラガには無い形態の魔法スキルに成りました!

 アンデットの負の性質を陰陽反転させて消滅させる様に作用する魔法です!」


 ピコーン〈スキル:天明の裁き〉を習得しました!


 良しこれなら一撃で仕留められるな!


「告、準備も整いましたので〈スキル:高速思考〉を解除します!

 存分にっちゃって下さい!」


 楽しそうにスキルを解除するラヴィ、おじさんの周囲の時間感覚が元に戻る。



「ドウかな? 驚いたかな? 次はドコが・・・? 何故その腕は落ちていない?」


 不思議そうに頭を傾げるハイリッチにおじさんからお返しを贈る。


「お前程度が落せる様な腕じゃあないんでね! お返しだ『天明の裁き!』」


 おじさんが呪文を唱えると小さな光の針が瞬時にハイリッチの胸の辺りに刺さると肋骨の周囲が光の粒子へと変化してそのまま全身に広がっていく、その状態にハイリッチは慌てふためく!


「ナ、ナンだこれは! シラヌ? この様な魔法は知らぬぞ!」


 既に消滅しかけているハイリッチにおじさんは伝える。


「おい! クソリッチ‼ あと9回ヤルから覚悟しておけ!!!」


 消滅する瞬間のハイリッチは何が如何為どうなっているのか分からない様子で消えて行った。


 消えた後に残ったドロップアイテムと宝箱を回収してから44階層に倍返しをしに行きますか!

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