第27話 元おじさん・・・冒険者になる。
遣って来ました、冒険者ギルド。
それなりに大きい建物です。
ドキドキしますね、お昼前にサッサと登録してしまおう。
おじゃましま~す。
両開きの扉を開けて中へと入る、入る前はざわついていたが今は少し静かに成っている、恐らくこちらを見ているのだろう。
それもすぐに元の騒がしさへと戻った、確認が済んだからだろう。
昼前なので、人はそんなに居ない様だ、しかし本当に酒場が併設されているのだな驚いた、昼間から結構飲んでるな・・・さっさと済まして逃げよう。
周囲を見回して、それらしいカウンターへと足を進める。
受付女が3名居るが、ラヴィの御薦め
彼女は、ロングの金髪を後ろに束ね、しっかりとした目付きの青い瞳、明るそうな表情の美人さんだ。
「秘密ですが、B90W60H88の処女です!」
ラヴィさん、そう言う爆弾は落さないで!
決して、御胸を見ない様にフード脱いで相手の目を見ながら話し掛けた。
「すみません、宜しいでしょうか?」
すると笑顔を浮かべ。
「はい、ようこそ冒険者ギルドへ、どの様な御用件でしょうか」
おおっ!何とも良い笑顔だ、さぞ人気が在るのだろう。
「冒険者の新規登録と従魔2匹の登録をしたいのですが」
そう告げると2匹も顔を出してあいさつした。
「ニャ」「ミャ」
「あら、可愛らしい従魔さんですね。
新規登録でしたら、入会金3,000パル(銀貨3枚)、従魔登録1体に付き500パル(銅貨5枚)ですので、合計4,000パル(銀貨4枚)に成ります。
紛失された際は、再発行に5,000パル(銀貨5枚)掛かりますのでご注意ください。
ではこちらの書類に記入をお願いします。
名前と年齢は必ず書いて下さい。
代筆が必要な場合は申し出て下さい」
そう言って新規登録の書類と従魔登録の書類を出された。
4,000パル支払い書類を受け取った。
普通に読めるし書き方も分かる、スキルって凄いが少し怖いな、便利では在るが知らない事が直ぐに出来る感覚は自分の認識を狂わせる。
「回答します、そういうモノだと諦めて下さい、神と云う理不尽な存在が創ったモノですから」
ラヴィもそう言ってるし諦める事にした。
書類に名前と年齢を記入して、スキルの記入欄も在るので棒術と生活魔法と記入する、さり気無い大した事無い奴アピールも必要らしい。
間違っても、アイテムBoxや鑑定系、上位スキル等記入しようものなら、ランクを飛び級させて、囲い込もうとするらしい。
おじさん、冒険者ギルドを便利に利用はしたいが、利用はされたくは無い。
なので、誤魔化す所は誤魔化し通す。
まあ、冒険者ギルドも冒険の神々の恩恵を受けているらしく、あからさまに不当な扱いはしないらしいが、冒険者は自己責任との概念が在るので、結構ガバガバらしい、それこそ各所のギルマスの裁量次第だそうだ。
目立たないに越した事は無いが、従魔はそう言う訳には行かないので、最大限の防衛線を引く、ラヴィに言われた通りに記入した。
「これで、お願いします」
お姉さんに各書類と従魔の入場許可書を渡す。
「はい、確認しますね。
名前は、クロウ・クローバーさん
年齢、15歳
スキルは、棒術に生活魔法(少し残念そうにした気がした)
本人は以上ですね。
次は、従魔です・・・ね。
な、名前は、チャチャとノワ。
(ここから小声)従魔契約、仲介の神は・・・女神ドゥジィン様!」
お姉さん、少し震えている。
「どうかしましたか?」
「! いえ、何でもありません・・・あの、この様な事をお聞きするのは大変失礼なのは重々承知していますが、クロウ様は女神ドゥジィン様の信者なのでしょうか?」
若干怯えている様に見えた、ドゥジィンさんナニヲヤッタ!
「信者では在りませんが、偶然の縁が在りまして、従魔契約で仲介をして頂きました」
そう言うと、ホッとした様な表情で手続きを進めてくれた。
「そうでしたか、急な質問をしてしまい申し訳ございませんでした。
では此方のプレートに手を乗せて下さい、手を乗せて3秒後にMPを1消費しますのでご了承ください」
カウンターに黒光りするプレートを出したので、手を乗せた3秒待つ。
「はい、よろしいですよ。
只今、ギルドカードを発行しています。
クロウさんは、15歳以上なのでEランクから始まります。
受けられる依頼は1つ上のランクまでです。
Eランクは依頼を10回成功させれば、Dランクに昇進できます。
ギルドカードを受け取りましたら、カードを従魔の額部分に当てて3秒ほどそのままにして下さい。
3秒経つと魔法印が刻まれます。
その魔法印が冒険者ギルドが従魔登録を認めた証に成ります。
魔法印は暫くすると消えますが、カードをかざせば再度現れます。
では、此方がクロウさんのギルドカードに成ります」
そう言って受付のお姉さんがギルドカードを渡してくれた。
カードには、〈Eランク クロウ・クローバー〉と記載され、裏にはチャチャとノワの名前が記載されていた。
すぐに、チャチャの額にカードをグリグリ押し付けた、お姉さんは慌てて何か言おうとしたが、チャチャはゴロゴロと喉を鳴らし目を細めていた。
ノワは、そっと額に当てると、パシッと両手でカード押えてしばらく放してくれなかった、受付のお姉さんは微笑ましそうに眺めていた、見てないで助けて欲しい。
「冒険者ギルド規則の説明は此方の小冊子をお読み下さい。
文字の読めない方には、口頭での説明をしていますが、クロウさんは文字が読める様なのでしっかり読んで覚えて下さい」
受付のお姉さんが小冊子を差し出してくれた。
「追加情報です、その小冊子は彼女の御手製です」
しっかりと受け取り、お礼を言った。
「分かりました、大切に読ませて貰います」
すると、受付のお姉さんも嬉しそうに。
「大切にして下さいね」
と微笑んだ。
「では改めまして、わたくし冒険者ギルド受付ミラルと申します。
これから、よろしくお願いします、クロウさん。
以上で、登録の手続きを終了します、他に質問は在りますか?」
こうして、おじさんは人生で初めて冒険者になった!
・・・取り敢えず素材の買取聞いてみないと。
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