第26話 元おじさん・・・街に行く。
硬くなった棒の感触を試しつつ、リュックサックに視線を向けると、チャチャとノワとさくらが楽しそうに
リュックサックの両側の収納に2匹がそれぞれ入り込み隠れて、さくらが収納口に手をかざすと・・・
ハシッ! ハシッ!
2匹が収納口から体半分飛び出して両手を使って掴みに行く、その行動をキャッキャッ!と喜ぶさくら。
微笑ましいと思い、すかさずラヴィに。
「撮れてるか?」
「回答します、〈スキル:脳内HDD〉に記録済みです、マスター視線をずらさないで下さい、記録できません」
「あ、済みません」
注意されてしまった、そんな光景を眺めつつ、ふと思い聞いてみた。
「ラヴィ、さくら達はマヨヒガの外に出せるのか?」
「回答します、準備無しでは1分ほどで消滅します」
!
「消滅!消えるのか!」
「回答します、その通りです」
・・・なんてことだ、これは絶対に注意しておかないと!
「その後、マヨヒガでリスポーンします」
ん?
「マヨヒガが在る限りリスポーンします」
んん・・・・・・
「回答します、マスターが最後まで話を聞かないからです」
・・・すみません(若干納得いきません)。
ぐぬぬ、理詰めで勝てる気がしない。
「提案します、明日は朝早くに出発しますので、お風呂に入って早目に就寝して下さい」
「・・・はい、わかりました、おーい お風呂に入るよー」
「ニャ」「ミャ」「はぁい」『準備します』
それぞれが返事をしたので、おじさんはチャチャと男湯に行きサッパリしてから就寝した。
朝、相変わらず人の布団に潜り込んでくる1匹と1人を起こし洗顔後、朝食を食べた。
今朝は昨日のカレーの残りに焼いたナス・ピーマン、蒸したじゃが芋・人参(♡型)を乗せた野菜カレーを頂いた。
やはり、一晩置いたカレーも美味いな。
十分に腹を満たしたので、装備を整えて、いざ出発・・・前に再確認。
下着(神器の下着、半袖シャツ・トランクス)・衣服上下、良し!
靴下・半長靴、良し!
手袋・フード、良し!
革の鎧、良し!
多目的ベルト・鉄の剣(ショートソード)・鉄のナイフ、良し!
肩掛けカバン、良し!
リュックサック、良し!
左右のチャチャとノワ、良し!
「にゃあ!」「みゃあ!」
木の棒、良し!
忘れ物無し!
「じゃあ、行って来るよ!さくら、琥鈴、番さん」
「にぃに、いってらっしゃい!」『お気を付けて』「うにゃう!」
! 初めて番さんの声を聴いた。
驚きつつもゲートから外へと出た。
先ずは周囲の索敵をしてから、西の街道を目指す。
「報告します、森林内部に6名の人間種の反応を捕捉。
こちらは隠密系スキルを駆使しましたので補足されてはおりません。
このまま街道へ向かって下さい。
街道周辺に通行人が居なければ、そのまま街道を道なりに北上して下さい。
その先に、交易都市オルーマンが在ります」
「了解、森林の6名って調査に来た冒険者かな」
「回答します、その可能性は高いです・・・マスター、南の森林に入ってから西の街道へ向かって下さい。
見晴らしの良い街道を衛兵が巡視しています。
このまま向かうと面倒な事になります」
「レッサードラゴンの件で警戒しているんだろうな」
「回答します、おそらく結果が出るまでは警戒しているでしょう。
街道ですれ違う分には問題無いでしょうが、問題のある方向から歩いてきたら、質の悪い相手によっては捕縛されます」
「え、いくら何でも無茶過ぎないか」
「回答します、手柄の欲しい者は幾らでも言い掛かりを付けて来ます。
他方の旅人より地元の衛兵の方が信用度ありますし、警戒するに越した事はありません」
「石橋を叩いて渡る、位の警戒が必要かな」
「補足します、石橋を叩き割るつもりで叩き、割れ無い橋を渡る、これを推奨します」
「殆どの石橋が渡れ無いじゃんそれ」
「それ位慎重な方が事故が起きずらいです、起きる時は起きますが少ない方が良い筈です」
「確かにそうだけど・・・ああ、でもそうやって何度も手を変え品を変え騙されたなぁ」
「マスター、黄昏ている最中ですが街道へ出ます。
周囲に人影無し、ですが慎重に出て下さい」
「了解、右良し、左良し、さらに上も良し、街道に出る」
少し確認を入れて街道へ出た。
思ったより整備されていた、まあ、日本に比べれば平らな土の道だが、交易路だけ在って幅が広く凸凹が少なく感じる。
「定期的に近くの街道を整備しているのでしょう、さあオルーマンへ向かいましょう、馬車の邪魔にならない様に道の端を歩いて下さい」
「了解、端っこ歩きます」
そこからは順調だった、巡視中の衛兵にもすれ違ったが、軽く挨拶する程度だった、出発してから休憩を挟み3時間ようやく外壁が見えて来た。
外壁を目指して進んでいくと正門が見えて来た、正門前は人や馬車がそれなりに並んでいた、おじさんも人の列の最後尾に並んだ。
・・・・・・、1時間程待ちもう少しで自分の番である、猫2匹は左右の収納で快適に寝ている(羨ましい)、前の人が終わり
「次の者前へ!」
呼ばれたので前へ出た。
「はい、お願いします」
「目的は、身分証明書は有るか、有るなら入街税が1,000パル(銀貨1枚)、無いなら3,000パル(銀貨3枚)、ギルドカードが在れば免除となる、門を出る際は税は掛からないが、また入る際に掛かるから気を付けろ」
親切に教えてくれた、良い衛兵さんだ。
「仕事を探しに冒険者ギルドに登録しに来ました。
身分証明書はこれです、従魔が2匹居るんですが入街税は掛かりますか」
ラヴィに事前に税が掛かるのは聞いているが、後で揉めない様に聞いておく。
「従魔か、ギルドカードに登録して在れば免除されるが、それ以外は一律500パル(銅貨5枚)掛かる、2匹なら1,000パル(銀貨1枚)掛かるな、それで従魔は何処にいる?」
衛兵さんが周りを探していたので、リュックサックを軽く叩き。
「チャチャ、ノワ、顔出して」
2匹に声を掛けると、収納口からヒョコっと2匹が顔を出した。
「ニャ」「ミャ」と衛兵さんに挨拶した。
「ほう、猫の魔獣か、確認した。
入街税2000パル(銀貨2枚)払ってもらう」
「分かりました、どうぞ」
入街税を支払った。
「確かに、ではこれを持って行く様に、従魔の入場許可書だ。
ギルドで従魔登録した際にはギルド側に渡す様に、登録しなかった場合は門を出る際に此方に返還する様に分かったな」
2枚の名刺程の大きさのカードを渡された。
「分かりました、ありがとうございます」
衛兵さんにお礼を言った。
「良しでは、通行を許可する、ようこそオルーマンへ!」
そう言って通してくれた。
後ろも
門を潜ると、異世界の街並みが目に入って来た、珍しい光景では在るがキョロキョロして変なのに目を付けられるのも面倒なので、ラヴィの案内でおじさん初めての冒険者ギルドへと向かう。
果たして、テンプレは起こるだろうか?
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