第10話 けもの・・・モフモフが良いです。



「突然ですがひっちー様、従魔契約しませんか」

 突然だった、従魔契約ってあれですか強そうな魔獣や魔物を従えるやつ。

「えっと、いきなりどうしてそのようなお話に?」

 疑問を問い掛けた。

「ひっちー様はユニークスキルの影響で独りの状態が多くなる可能性が在ります」

 うぐ、そうですね。

「ですが、従魔や使役に関してはその限りではありません」

 確かに。

「独りにはどうしても限界が在ります、ですのでそこに従魔契約です」

 成程。

「寂しい独りの夜もお供がいれば寂しくない」

 ん?

「これで孤独も怖くない!従魔契約いかがですか」

 あれ?これって。

「あの、これボッチ確定みたいに聞こえるんですけど」

 ・・・・・・・・・・・・・・・。×2

「そんなことありませんよ」

 にこりと微笑むがぎこちない。


「いかがですか、助けになるとおもいますよ」

 確かに一理ある。

「良いかもしれませんね、どんな従魔が良いですかね?ドラゴン?」

 何となく言ってみたが。

「すぐに食べられるか、殺されますよ!」

 やっぱり。

「今のひっちー様だとドラゴンなんて卵の時から育てないと無理でしょうし、十分に成長するまで早くても50年は掛かりますよ」

「長いですね、50年・・・」

 自分はそこまで生きれなかった。


「ドラゴンにとっては、たった50年です」

  時間の感覚が違い過ぎるな。

「従魔契約の条件はどのようなものが在りますか?」


「色々ありますね、一番多いのが服従、力で認めさせる方法ですね、次は愛情、卵や幼獣の頃から育てる方法です、その次が信頼、双方が認め合い契約する方法で、あとは特殊な事情での契約等ですかね」

 なるほど、なるほど。

「従魔契約はお互いの利害関係の一致で神々が仲介して契約とします、解除についてもお互いの同意が必要です」

「それらを無視するとどうなるんです?」

「例外有りの罰則を受けます」

「例外とは?」

「それはヒミツです♡」

 人差し指を唇の前に置きウィンクしながら微笑んだ。

 

 思わず、「かわいい」とつぶやいてしまった、予想外のつぶやきにドゥジィンさんの顔が赤くなっていた。


「でも、珍しい従魔を連れていたら絡まれませんか?」

「御安心下さい、従魔契約をきちんと理解している者はそんな馬鹿な事はしません」

「でも、馬鹿は居るんですよね」

 ・・・・・・・・・・。

「その場合は仲介した神が張り切って関係者全てに神罰を与えます、もちろん罰ですので死ぬ事はありませんよ」

 張り切るんだ。

「神殿経由で『だめですよ!』と伝えてはいるのですけど、中々理解されなくて特に貴族のお子様がねぇ」

 親の教育が悪いのだろう。


「何で張り切るんだ?」

「従魔契約の仲介や神罰は数少ない神の威光の見せ場なの特に新しい神や忘れられた神にとっては見逃せないイベントなの何せ神罰の決まりが誤射はダメ、死なせてはダメ、わざと誘導してはダメの3つのみで他OK、仲介も自神に縁の在る従魔を有望そうな相手に神託で紹介したり(紹介はするけども契約は自分で勝ち取ってね♡)」

 中々大変そうだなぁ、神様も。

「神様ってそんなに多いのですか?」

八百万やおよろずって程では無いけれども、それなりに多いですよ」


「話を戻しましょう、今回の従魔契約の御話は日本の管理者神々からの打診です、どうしてもひっちー様に従魔を紹介したいと」

 ???

「日本の管理者神々からルドラガ側に合わせた姿にしたので詳細を此方の立体映像で確認して欲しいそうです、よろしいですか?」

 尋ねられたので、首を縦に振った。

 !!!

「はっ、え、なんでぇ!」

 そこに映し出されているのは、忘れもしない忘れる訳も無い、ほんの一月前に息を引き取り、あんなに元気だったのに事故の3日前に後を追うように亡くなった、2匹の愛猫!姿が多少違うが間違いない!だ!

 そう思った瞬間抑えきれなかった!

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 ないた、声押し殺し泣いた、でもでも駄目だ!もうもう!!もぉお!!!

「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 鳴いた、吐き出すように吠えるように全てを無視して汚く見っとも無く僕は泣いた!

 どの位、泣いたのだろう、どの位、吐き出しただろう、どうしたらいいかわからない。



 ふと、頭に触れるが在る あたたかい 意識が視界が徐々にを確認する。

 だ、ドゥジィンさんの手のひらだ、優しくなでていた、優しく微笑んでいた、見惚れてしまい気付いたすきっりしている気付かない間から在ったが消えている、なんだろう。


「吐き出せましたか、久道様、此方を御使い下さい」

そう言って、白いハンカチの差し出してくれた。

「ありがとうございます、でも汚してしまう」

 受け取りながらも躊躇した。

「ふふっ、ハンカチは汚れるものですよ、それに愛の籠った汁は汚く無いですよ」

 台無しである、感動したのに台無しである。

「それに、そのハンカチ神聖魔法のが付与されていますから常に綺麗ですよ、記念に差し上げます」


「さて、ひっちー様も落ち着きましたし事の経緯を説明しますね」

 ドゥジィンさんの説明では。

 

 何でも、猫にはいくつかの魂が有り転生を繰り返すらしい、そして、2匹も転生の準備をしていたら謎の猫の情報ネットワークで元飼い主(世話係)の事を知り、日本の管理者神々に直談判(肉球を顔面に押し付けて)しルドラガで転生させて欲しいと頼んだそうだ。

 日本の管理者神々(御満悦顔)も気を利かせてそれなら従魔契約をすれば良いとドゥジィンさんに打診したらしい。


「以上で説明を終わります、それで如何なさいます?従魔契約をなさいますか」

「もちろん!おねがいします!」

 即答した。

「ではまず、【祝福P】しゅくふくぽいんと100P消費します、よろしいですか?」

「お願いします!」

「では、100P使用します、ほいっと」

 チャリン! ガシャンガシャン! 2つの丸い球が現れた、まるで・

従魔珠じゅうまじゅです、従魔が入っています、開放すると珠は消えます、ここでは解放できませんので後でストレージBoxに収納致しましょう」

「では、従魔契約を致しましょう、契約の仲介はわたくしが行います、よろしいですか?」

「お願いします」


従魔珠じゅうまじゅをそれぞれ御持ち下さい、意識を珠に集中して、では『愛と境界の女神ドゥジィンの名に置いて信頼と愛情のこの契約を見届ける!』(珠が瞬間的に輝いた)・・・はい、よろしいですよ」

 満足そうな笑顔で契約の完了を告げた。


 こうして、おじさんはモフモフを手に入れた!うれしい!!

  

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