第48話 平和の柱。1/4
「……奴らは消えたか。つまらぬ」
「そういうなよ。もう散々やったんだろ? それに今、あの連中を叩いたって弱い者いじめで世間様に叩かれるだけだっての」
美しい女の頭部を
「イミト様‼ お怪我は無いので御座いますか⁉」
すると美しい女の頭部との冗談交じりの
「おかげさまで、
そんな彼女の気遣いに手の届く距離まで近づいた少女の頭を
「いえいえ、クレア様の指示なのです。それより……ここに長居もあまり良くないと思うのですよ、来る途中に通路を守っていた結界とか仕掛けを
少女はその暖かい手に
「恐らく、来た道は既にミュールズの兵が集まり
そのデュエラとの会話を起点とし、クレアはイミトとの情報交換を始めた。城塞都市ミュールズに
「そうか。どうする? この上に、お前のお目当てのレザリクスも居るぞ」
「——……別に
イミトの問いに見えぬはずの地上を
しかしながら、それは裏の顔。
「そりゃ助かる。あー、疲れた……カトレアさんはどうしたよ」
直ぐ様に表情と気分を切り替え、気怠く疲労の声を垂れ流しながら背後に少し倒れ込み、床に後ろ手を回して両手で体を支えて話を進めて。
「
「嘆きの峡谷が待ち合わせ場所とか、何度聞いても嘆かわしいこったな」
そして返ってきたクレアからの答えに、安堵しつつも事前に用意していかのような
「——そろそろ騒動を調べにミュールズの者どもが来るだろう。我らは行く」
「ああ、一応……気を付けろよ。見つかっても殺したりするなよ、面倒だから」
すると、呆れた様子のクレアも鼻で息を吐き時間も迫っている事も相まって、最低限必要な情報を交わし終えた二人は、それぞれに
「分かっておるわ馬鹿者が。何故そう貴様は甘いのだ」
クレアは自身の黒い髪を操り、クレアを抱えるデュエラの
「貴様が本気を出しておれば、そこらに奴らの死体の一つでも
「なんだ、殺して欲しかったのか? 俺は、お前の
「
クレアの指示通りに進み始めたデュエラが気を遣って足を止め、
対して、そんなクレアの反吐を吐くような言い分を耳にし、イミトも眉を下げて自嘲の呟き。
「——……
皮肉めいた笑みを浮かべながら
「くだらぬ
「その可能性は無いと思うけどな。あのルーゼンビフォアの顔……アレは何か強さを取り戻す方法があると見たね、俺は」
「……その口振り、また大まかな
やがて
「まぁ、二つくらいはな。邪魔も出来ない方法だし、
「そうか。まぁ良い。
それでも、
そして二人は。、これからに乞うご期待と互いの顔も見もせずに笑い合う。
その時、水を差すようにクレアを抱えていたデュエラは——ある事を思い出していた。
「は、はいなのです‼ あっ、でも……その前に」
クレアの指示に従いつつも、僅かに求める
「どうかしたか?」
そんな不穏な様子に眉をひそめ、デュエラに疑念の視線を送るイミト。
デュエラの謝っておきたい事とは、ルーゼンビフォアとの戦いで消失したイミトの調理器具の事である。
だが——、
「ワタクシサマたち、イミト様に謝らなければならない事が——」
「デュエラ。時が無い……あの件に関しては後にせよ」
「え、で……ですが……」
その事について打ち明けようとした矢先、クレアの声に制止されて。
「……凄い気になるんだが、時間が無いのは確かか。俺は和平調印式を見届けてから戻るから、早く行け」
更にイミトも後回しだと、優先順位を指定され、戸惑うデュエラは決断を迫られる。
どうしたものか、バツの悪さを誤魔化す為に
自身が抱える胸のモヤモヤを抑え、デュエラは息を飲んだ。
そして——
「は、はいなのです‼ では——ゴメンナサイなのです‼」
デュエラが地下水道を駆け出そうとしたその瞬間——
「——お待ちください」
唐突に彼女は現れる。
「「「——‼」」」
何も無かったはずの空間が
これみよがしに己を主張するような吹き
羽の生えた天使が、そこに居た。
「アルキラル……ていうか次から次に……いい加減、この
その彼女の名を、その唐突な登場の感想を述べるように
「天使様が、こんなドブ臭い穴蔵に何の用だ? ホームレスでも救いに来たのか?」
今にもアルキラルに斬りかからんとする気配を
すると——アルキラルはそれを自覚した上でか、静かに
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