第46話 塵に燃えゆく。1/5
真っ暗な
「……成功は一応したみたいだな。運が良くて助かる……技の名前はバックドラフトの方が良かったかもな。あんまり詳しくないからな、どっちがどっちだか……」
暗幕が降ろされたような闇の中、ポツリと
「——……君に指示されるままだったが、向こう側は今どうなっているんだ?」
そんな事象が引き起こした熱と勢いを
「まだ流れ込んでる空気が燃えている所だと思うが、一瞬で燃え広がってるだろうから凄い熱でスライムの水分が
彼に自分たちが
だが、疲れたからと休んでいる
「それより、アディ・クライド。お前は直ぐにレザリクス・バーティガルの所に迎ってくれ」
「……大丈夫なのか。召喚魔法は、かなりの魔力を使うと聞いているが」
イミトは息を吐いたのも
「俺の事は気にしなくていい。気になってるんだろ、万が一のことがあれば和平調印にも影響が出る……早く行け」
イミトの隠している疲労を感じ取り、薄暗闇の中で顔色を
「……了解した。では、この場は頼む」
確かに、魔力を使い切ったようなイミトの様子は心配ではあった。しかしながらと優先すべきものは何かと考えた時、アディ・クライドはイミトを置いて立ち上がらなければならない。
何も真相を知らぬアディの視点から見ればアーティー・ブランドが
彼は立ち上がり、痛い程に真っ直ぐな瞳でイミトを見つめ
「おう。セティスに会ったら、アイツも城に連れてってやってくれ。クジャリアース王子の呪いの方も早めに
「ああ——任された‼」
そして恐らくはツアレスト王国か、リオネス聖教の聖騎士としての敬礼であろう胸に手を当てる仕草をイミトに
その時、互いの顔には笑みが浮かび——やがて訪れる再会を確信しているようであった。
「——……さぁて、蒸し焼きは、
『イミト。そっちは無事?』
やがて独り闇の穴の中に残り、肩の力を抜いたイミトだが、アディが去ったと思った矢先、傍らに握っていた魔通石が赤い光を
「ああ、セティスか。そっちも無事みたいだな……俺のスライムの位置からすると穴と地下水道の合流地点だろ。お前は
事前に打ち合わせていた幾つも想定を覚えている事を前提とした会話。セティスに貼り付けていたイミトの魔力を用いて作られたスライムとの感覚共有で大まかなセティスの位置を
『——了解。イミトは?』
けれど、ここから先はセティスも聞かされていない
故にイミトは少し考えた。何を
そして伝えた結果——、セティスがどう動くかまでを。
「……あのスライムがどうなったか調べてから戻る。たぶん死んで無いだろうからな」
やがて至った結論、これからの行動の
『——結構な爆発だったと思うけど。他に仕掛けてた音波魔法はどうする? 解除?』
そこからのセティスの言葉の返しは、どうせ何かを隠しているのだろうと彼の性格を
「頼む。手間を掛けさせたな、実験してた
イミトもそれを感じた上で、世話を掛けると
『もし手に入りそうなら本物の方のサンプルも
「了解、そのつもりだ。クジャリアース王子の方は
『それは無い。既に結界で通路は
そこからは
やがて疲労を後頭部から背後の黒壁に
「——んじゃあ、まぁ……魔力の
そして腰裏の小さな
これからも続く激動に向かう為の助走でもあるようだった。
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