第八 金平糖の釦

  金平糖こんぺいとうボタン




雨上りの散歩道

女の子が黄色い花を見附みつけました

蹲込しやがみこんでよく見ると

花のそばには金平糖こんぺいとうのやうないてをります


  それは狐の牡丹ぼたんですよ


の着物の せいの高い女の人が言ひました


  狐のボタン

  狐は釦を金平糖でこさへますの?


女の子は顏を輝かせました

花や實の樣子やうすと言ひ 名前と言ひ

これこそ ほんたうの寶物たからもの

女の子は滿足みちたりた喜びに眞實しんじつひたつてをりました


  たんとおみなさい

  さうさう 金平糖もたんと召上れ……


女の人は優しく頰笑ほほゑんで

女の子は小さな手にいそいそと花束を作りました




――ええ 御氣附おきづきでせう

  それが毒を含んでゐるなどとは露知つゆしらぬままに――




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