第13話 小説を書こうと思い立った経緯を憶えていますか
最近、どんな作品を書いても評価されない。
自分には小説の才能はないのだろうか。
こう思い悩む方が多いですよね。
そのとき、思い出していただきたいものがあります。
「小説を書こうと思い立ったいきさつ」です。
たとえば「ある小説を読んで、自分もこんな作品を書いてみたい」から始めた方、大勢いらっしゃいますよね。
もし今のあなたが壁にぶつかり伸び悩んでいるのなら、原点に回帰しましょう。
そうです。
「こんな作品を書いてみたい」と思った物語を書けばよいのです。
人間、思い立ったものを忘れて、今を追いかけてしまいがち。
ですが、本当に必要なものは、すでにスタート地点に置いてあるのです。
それに気づかず、今の流行りだけを追いかけようとしているから、伸び悩んでしまいます。
「原点」に立ち返り、こんな小説が書きたいと思った作品を思い出して書けばよいのです。
誰のなんと言う小説を読んだから「こんな小説が書きたい」と思ったのか。
プロの作品なら紙の書籍を手元に置いて、いつでも読めるようにしておきましょう。
小説投稿サイトの作品なら、その作品にブックマークをしてこちらもいつでも読めるようにしておきます。しかし小説投稿サイトの作品はいつ書き手が削除するかわかりません。もし書籍化が決まって削除される場合、紙の書籍を買っておくのを忘れずに。
原点がどうしても思い出せない方は、処女作のリビルドに着手しましょう。
たいていの場合、処女作こそが「こんな小説が書きたい」という「原点」を示しているものです。
だから処女作を納得がいくまで組み立て直してみてください。
きっと「そんな小説を書きたかったんだよなぁ」と思い出して、次に書くべき小説の輪郭が浮かび上がります。
流行りを追えば読み手が増える。
間違いはないのですが、それでは流行りに振り回されるだけで終わってしまいます。
小説を執筆するには数十時間、百数十時間と手間をかける必要があります。
流行りに乗るだけで、多くの人に読まれるだろうけど書きたくもない物語を書くのは苦行でしょう。
だからこそ、処女作つまり最初の一作が道しるべとなるのです。
第一作には「こんな小説を書きたかったんだ」という思いが詰まっています。
「秘密の宝箱」なのです。
しかし、第一作だけに固執するのもよくありません。
どんな小説でも書けなければプロになりえないからです。
第一作が「原点」であるのは間違いない。
ですが、こだわりすぎるのもよくありません。
あくまでも、書きたいものが見当たらない、自分には才能がない、で止まっているときにだけ立ち返ってください。
いつまでも第一作にこだわっていると、物語の多様性が生まれません。
金太郎飴のように同じ作品がテンプレートで生み出されるのみです。
もちろん「ブランディング(ブランド化)」として行なっているのなら否定はしません。
「異世界転生ファンタジー」といえば私、くらいの強力な「ブランディング」がしたければ、「異世界転生ファンタジー」だけを書きまくるべきです。
しかしプロになって「異世界転生ファンタジー」しか書けないのであれば、たとえ紙の書籍化し、マンガやアニメになった作品を生んだとしても二作目はありません。
二作目以降につなげたければ、多様なジャンルが書けるに越したことはないのです。
「この作家、異世界転生ファンタジーしか書けないのか」
これがよい意味なのか、悪い意味なのか。
「ブランディング」としてやっているのであれば、一心不乱に徹してもかまいません。
もし流行りとは異なり、自分が書きたい物語は別にある。という方なら、二作目はそれを書いてもよいでしょう。
小説の書き手は、最初に「書きたい」と思った作品が日の目を見るのを待っています。
だから何度もリメイクして発表していくのです。
書きたいものがわからなくなった。
自分には才能があるのかわからない。
そんな問いが生じたら、一度「原点回帰」したほうがよいでしょう。
原点には強力な「動機」が宿っています。
スピリチュアルなことをいえば「荒削りだけど強力なパワーが宿っている」のです。
「原点回帰」はやる気を起こさせる最も重要なものです。
マンガでアニメにもなった、あだち充氏『TOUCH』の上杉和也は、幼馴染みの朝倉南が望んでいた「めざせ甲子園!」の紙を部屋に張り出して毎日見ていますよね。
「原点」を思い起こせば、無尽蔵にやる気が湧いてくる好例です。
もちろんこれが呪いのように自由な精神を縛ってしまうこともあります。
ですので「原点回帰」は行き詰まったら行なうようにしてください。
この先なにが起こるかわからない。
でも未知なるものを手に入れるために、出航してください。
どうしても手詰まりになってしまったら。
そのときに「原点回帰」つまり「最初に小説が書きたいと思った動機に立ち返る」のです。
そうすれば、膠着した現状はきっと打破できるでしょう。
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